三ツ星と雁や
狐照
三ツ星、彼女に引っ叩かれる。雁や、自宅が全焼す。
三ツ星という男はイケメンハイスペックだ。
本人に自覚は無い。
後スパダリでは無い。
そうであったなら、今彼の頬に真っ赤な手形はついてない。
三ツ星は先ほど同棲していた彼女に引っ叩かれた。
仕事と私どっちが大事なの?と問われ、それは何方も大事であるしそもそも同じ天秤にかけるものではない、と言ってしまったのだ。
だからスパダリでは無い。
そう、三ツ星は、ほとほとよくよく、お付き合いしている人から愛想をつかされてしまうのだ。
今回の彼女も見た目だけで三ツ星に惚れ込んで、稼ぎに満足し、その行動に憤怒。
叩いて出てった。
三ツ星としては気を使っていたつもりだった。
いつもそのつもりだった。
けれどお付き合いする人々は、どうしてかいつも憤怒。
叩かれ愛想尽かされそんな人だとは思わなかった、と言うのだ。
引っ叩かれた頬が痛い。
明日の仕事も色々と忙しい。
片付けは、後回し。
三ツ星は独りになった自宅にて、去った者の物そのままに就寝することにした。
それから数日後。
雁やから電話が掛かってきた。
それもキチンと、今から電話しても大丈夫?って文面にて確認された。
雁やの変わらぬ気遣いにちょっと口元を綻ばせた三ツ星は、帰宅しているので大丈夫と返事を返した。
『急にごめんな三ツ星』
もう二度と聞く事の出来ない声だと思っていた三ツ星は、思わず言葉を失っていた。
心地の良い口調に声だ。
雁やと話していて何度寝落ちした事か。
今もちょっと疲れとタッグを組んで寝かしつけてこようとしてくる。
けれど次の言葉に三ツ星は覚醒した。
『実は、会社が倒産してアパートが全焼して…申し訳ないんだけどちょっとお泊りさせてくれないか…?』
勿論、断る理由が無かったので受け入れた。
すぐに来るように強く言いつけてしまった。
『ありがと、三ツ星』
なのに雁やは嬉しそうに感謝を述べるから、三ツ星はいいから早く来いとまた強く言いつけてしまったのだった。
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