火属性能力者 火曜日燃絵流の冒険

時流話説

異世界への旅立ち

第1話 ~序章~ 炎を操る者の日常



 時は20XX年。

 日本の各地で火、水、雷など様々な能力を扱える者が現れた。


 最初期は、世界の終末論すら囁かれた異常な事態であったものの、別に世界は終わることなく日を重ねていく。

 不思議な能力を発現させる者が増え、よくある風景の一部になるにつれ、喉もと過ぎれば熱さを忘れる。

 彼らは次第に日常に溶け込んでいった。

 はたから見れば、犬が吠えているわぁ、くらいの注目度に納まることとなった能力者たち。

 そんな、少し不思議になった状態な世界で、この物語は始まるのだった。




―――――――――———————————————



 キッチン灯を受けて輝く米があった。

 フライパンの上で、油光が揺らいでいる。


「ほぉっ!」


 火曜日燃絵流かようびもえるは、フライパンを火の上で返した。

 米が拳一つ分ほど、宙に舞う。

 じゃああああッ、と熱する音が響く。


 とあるマンションのキッチンで、フライパンを振るう彼も、日本に突如現れた不審者―――ではなく、能力者の一人だ。

 上げた前髪、額に汗がにじんだ。

 瞳が爛々と輝く、普通の青年に見える。


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