【書籍化・コミカライズ1巻7/17発売】ハズレ姫は意外と愛されている?
gacchi
第1話
あれ、なんで私ここにいるんだっけ。
なんだかよくわからないけれど、身体が痛い。…お腹が空いてる?
ぼんやりしていた視点が急にはっきりしたように思い出した。
今からちょうど200年前に亡くなった魔女が前世だったと。
元は伯爵家の令嬢であったが、魔術の研究を重ね未婚のまま魔女として生きた。
あの頃、もう動きにくくなってしまった老婆の身体を嘆き、
これほどまで人生をかけて魔女の知識を得たというのに、
寿命で死んでしまったら無になることを恐れた。
ついでに、もう少しやりたいことをしておけばよかったと後悔した。
ちょっとくらい幸せになっても良かったんじゃないかなって。
だから、生まれ変わってもこの知識を持っていたい。
できれば…最初から幸せになるような家に生まれたい。
そう願って転生したはずだった。
なのに…どうしてこんな状況なのだろう。
ソフィアは七歳の誕生日を迎えたばかりの第一王女だ。
小さい手を見るとあかぎれだらけで、折れそうなほど細い。
周りを見渡すと、王女の部屋なのに狭いし家具が寝台しかない。
ドレスは陛下に会う時の一着だけ。
普段は使用人が置いていった私服をもらって着ている。
おかしい…陛下であるお祖父様の孫で、王太子であるお父様の唯一の子なのに。
この裕福なユーギニス王国の王宮なのに、私のいる西宮には使用人すら近寄らない。
私専属の侍女どころか、お世話をしてくれる使用人すらいない。
今自分が置かれている状況を一つ一つ確認し、結論を出す。
ここは腐っている
今すぐ王宮を飛び出したとしても生きていけるが、捜索されるとめんどくさい。
王女であるソフィアの魔力は登録されているだろうから、
外で暮らすにしても魔術を使う度に場所を特定されかねない。
ならば…出ていくにしても許可をもらってからにしよう。
このありえない状況を訴えた後も私を放置し、
なおかつ王宮から出てもいけないなどと言われたときには…
王宮ごと破壊して出ていこうかな。
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