第2話食事

5月の暑さで、汗だくになって帰宅した僕はシャワーを浴びて、冷蔵庫から缶ビールを取り出し、ついでにコンビニ弁当を開けて、テレビでニュースを見ながら食べた。

最近は食べ物の味がしないのだ。

砂を噛んでいる気分になる。食べなきゃ身体に悪いので、砂をビールで流し込む。

それから、精神安定剤を飲みニュースを見終わると、20時。

今日はあの、長い坂を下り、また上り、クタクタになったので、睡眠薬を飲む。

さっき、メールが届いた。

ゴールデンウィークの最終日に彼女のいずみが、会いたいと。

僕は悩んだ。

その日にうつ病の事を話すかどうか。


きっと、最後のデートになるだろう。

いずみは、僕が不眠症である事は知っている。


ゴールデンウィーク最終日。

いずみが焼き肉を食べたいと言ったので、焼き肉屋に2人で向かった。いずみは、病院の愚痴を垂れながら、牛タンを口に運ぶ。

僕が余り肉を食べないので、

「よし君、今日はあんまり食べないね」

と、言いながら牛タンを1人で1皿食べビールを口に運ぶ。

「いずみ、聴いてくれ。僕はうつ病なんだ。会社もクビになるだろうけど、彼女でいてくれるかな?」

いずみは箸を置き、

「それ、本当?」

「うん」

「わたし、経済力のない男とは結婚出来ない。悪いけど、他にもいい男たくさんいるから、よし君とは今日までね」

僕は、予想していた。だから、ショックは大きくない。

「いままで、ありがとう」

と、僕は言った。

いずみは、席を立ち、去ってしまった。

僕は、唯一味の感じる生ビールを4杯程飲んで帰宅した。

部屋着に着替えると、ベッドに倒れこんだ。

明日は、会社に電話しなければならない。

うつ病で、3ヶ月間休む事を。

きっと、クビになるだろう。

僕は睡眠薬を飲むと浅い眠りについた。

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