ふんわり系お姉さん、荒野活動を始めます。
七星北斗(化物)
荒野でのキャンプ一日目。
今日もお仕事疲れました。
お休みなさーい。
二十歳でOLになり半年。
眠るのが趣味で、休みの日はいつも眠っています。
明日はガーデニング教室の日でしたね。ですが、明日のことは明日考えましょう。
「スヤァーっ」
どのくらい眠っていたのでしょうか。
気づいたら夕焼けが綺麗……っていやいや、ここどこ?
草や土の匂いが強い。
周りを見渡すけれど何もない。焼けたような色の土、申し訳程度の草。
まさに荒野だ。
正直驚きすぎて、逆に頭は冷静です。
土の上で眠っていた私の髪はバサバサ。お風呂に入りたい。
あれ、これなんでしょう?眠っていた私が、枕代わりにしていた物は一冊の本でした。
古ぼけた茶色の表紙で、年代物だと思わせる風格のようなものを感じます。
しかし困りました。この本の言語は見たこともない文字です。どこの国の言葉ですかね?
タイトルが読めず、とりあえず表紙をめくってみることにしました。
あ、読める。普通に日本語ですね。
【ブルームの世界へようこそ】
ブルーム?聞いたことないですね。
【貴女は目覚めることのない病で死にました】
えっ、私死んだの!
衝撃の事実です。しかし、私は今生きてますよね?
【神は異世界で生きる権利を貴方に与えました】
ここ異世界なんだ!だけど、神様って実在したんだね。
【この本は読むことで、貴女を助ける力になるでしょう】
ガイドブック的な?
【願わくば、貴女の新たな人生に幸多きことを願います】
情報量少ないですね。不親切な神様もいたもんです。
神様からの啓示は、本から文字が抜け出して空中に浮かび、どこかへ飛び出してしまった。
そうして白紙の一頁目から文字が浮かび上がり、文章が出来上がったのです。
文字からは微かにインクの匂いがしました。縦書きの文章を読み進めます。
文字数は五百文字くらいでした。書かれていることを要約すると。
【スキル、土魔法。土を自在に変形、変化させることができる】
一頁目を読み終えた私は、どうやら土魔法を使えるようになったようです。
二頁目が気になりましたが、なぜか白紙でした。何かルールがあるのでしょうか?
辺りが暗くなってきました。
とりあえず、土魔法で簡易住宅を作ってみましょう。流石にこの場所で夜を迎えるには、とても不安が大きいのですから。
むむむっとイメージをして、壁を四方に作ってみました。しかし、ドアがないので入れませんね。
土魔法で変化させる、そしたらドアができました。ドアを開けて中に入る。
天井がないのが気になりますね。だけど、壁で天井を覆うと室内が暗くなってしまいます。
何か良いアイデアはないかと考えます。そして思い付いたのが、砂から硝子を作ることです。
早速試してみましょう。
試行錯誤すること数分。土魔法で珪砂から硝子を作ることに成功しました。硝子の天井です。お洒落ですね。
今日は疲れました。お腹が空きましたが、辺りはすっかり夜になってしまいましたし、我慢して寝ます。
お休みなさーい。
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