第13話 ケイと俺の休日

 お休みの朝。


 六時半にケイが鼻先で俺の頬をツンツンして起こしてくれる。あくびをしながら起きて、歯磨きをしていると後ろでケイがのび~と準備体操だ。


 トイレに行き、着替えて散歩用バッグを手にケイを呼ぶと、リードをくわえてやって来る。


 賢い!


 散歩にでかけ、家から徒歩二〇分ほどのいこいの森公園に入る。大きな公園で、公園内を一周、二周して帰路につき、二〇分かけて帰宅する。


 ケイはたくさん歩けてニッコニコになる。


 そして、ごはんですね? という嬉しそうな顔で俺を見てくれる。


 そうだよぉ! ごはんですよぉ! と言いながら、大きな器にドッグフードをてんこ盛ると、ケイはニコニコでゆっくりとそれを食べてくれる。


 その間、俺はトイレやお風呂をお掃除。


 午前八時半頃から朝ごはんを作り、九時前には朝食用定食が完成する。


 ごはん、しじみ汁、焼鮭、ほうれん草のおひたし、卵焼き、たくわん。


 我ながら、料理が上手になってきたなぁと実感できる。


 それから午前はケイとゴロゴロしながら映画をみたり、夜ご飯の準備……今晩は豚バラ角煮にしようと思うので、まず豚バラをブロックで買っていたのを取り出し、適当なサイズに切り、フライパンで焼く。


 油を引いたフライパンで豚バラを焼くと、豚の脂が油によって出てくるので下処理を短縮できるのだ。


 ケイが、クンクンとしながら後ろに来た。


 おすわりをして、待っとる!


 かわいい♪


 ひとつ、焼き豚バラをあげると、ニッコニコでハグハグと食べてくれた!


 甘やかして、ついついあげちゃうんだよなぁ……塩コショウしてないから大丈夫だと自分に言い聞かせ、お鍋に水を入れ、沸騰させる。


 豚バラを入れ、輪切りにした生姜をいれ、長ネギの緑のところをぶちこみ、たまねぎをひとつ、ほうりこむ。


 煮込み続けるのみ。


 その隣で、ゆで卵をつくる。


 人参をザクザクと切り、長ネギの白いところも適当に切る。


 材料完成!


 ケイちゃんの頭や背中をナデナデさせてもらいながら移動し、リビングでゲームにいそしむ。


 デッドバイデイライト……キラーとして、数多のサバイバー達をエンティティに送りこみつつ、ケイちゃんの頭をナデナデしつつ、角煮の下処理が終わる頃あいだなとキッチンへ向かう。


 うむ! よけいな油も抜けて、柔らかくなってきた。


 ここで鍋の水を入れ替え、みりんと酒を入れてしばらくグツらせる。アルコールをとばした後、醤油と砂糖、にんにくの刻みを少々入れて、豚バラ、人参、ゆで卵を投入する。


 煮込むだけ。


 簡単。


 誰でもできる。


 再び、死合へと戻る。


 再度、キラーとして数多のサバイバーの煽りを受けるも、殺でお返しをして差し上げること数時間。


 ケイちゃんが、退屈そうだから散歩に行こうと誘った。


 ちなみに、ケイちゃんは無駄吠えがとても減ってきていて、今は一時間に一回、ワンというか否かまでになってる。


 前はひどかったんだぁ。


 可愛いから気にならなかったけど、ご近所に悪いからさぁ……。


 鍋の火はとろ火にしてるけど、外出するので消しておく。


 午後三時くらいに家を出て、イチョウ公園や遊歩道をのんびりと散歩し、午後四時半に帰宅。


 ケイにお夕飯をさしあげて、俺は角煮の仕上げ……といっても、煮込むだけ。


 ここで、長ネギの白いところを適当に切って、鍋に投入する。


 ネットフリックスで、アーニャ可愛いなぁ、ケイのほうが可愛いけどね! と楽しみ、ケイが「食べ終わりましたよ」と言わんばかりに甘えてきたのでナデナデしてあげ、モフモフさせてもらってから、俺はお風呂に入る。


 湯船にしっかりとつかり、温まり、出る。


 豚バラ角煮から漂う香りで、完全にやられて冷蔵庫に向かう。


 小ねぎをとりだし、タタタタタタタン! と細かく切って薬味にし、からしも用意。


 冷凍庫から、グラスをとりだす。


 ビールです。


 マルエフです!


 アサヒ生ビールです!


 豚バラの角煮の様子を確認……最高!


 今が潮時!


 皿にもりつけ、食卓につく。


「ケイちゃん、いただきます」


 ケイが、俺のあしもとで寝転ぶ。


 もらえないのはわかっているけど、くっついていたいらしくて、食事中はいつも俺の足に、少しだけ身体を乗せているのだ。


 かわいんのだ。


 かわかわいんいんのだ♪


 豚バラ、マルエフ、ケイちゃん。


 最高の休日だわ!

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