トリに食事を与えたら喜んで食べてくれた。ほっこり

!~よたみてい書

買ってきたよ

わたし「おやつ買ってきたよ~!」


 会社のオフィスに戻り、トリに声をかける。


 トリ。茶色い羽毛で身を包んでいて、丸っこいフォルム。


 腹部にチャックが備わっていて、青と水色の掴み部分が付いている。


 トリはよちよちと近づいてきた。


トリ「なに買ってきたの?」


わたし「じゃーん」


 持っていた茶色い袋の中に手を突っ込み、紫色をした細長いものを取り出し、


わたし「焼き芋でーす!」


トリ「わぁ、秋っぽい~!」


わたし「でしょ?」


 胸を張り得意げな態度を見せる。


 どやぁ。


 焼き芋をトリの前にそっと差し出す。


 しかしトリは口ばしを開け、片足立ちをし、両翼りょうよくを慌ただしく上下に羽ばたいていく。


 どうしたのだろうか。


トリ「持てないよ……」


わたし「あっ、ごめんね」


 つまり、こういうことね。


 ほかほかの焼き芋を半分に折り、


わたし「はい、あ~ん」


トリ「あ~ん」


 割れた焼き芋の中から金色の中身が湯気を緩やかに上げさせながら姿を見せる。


 そしてトリの口ばし近くに分裂した焼き芋を近づけると、トリは口を大きく開いた。


 その出来上がった空洞に、焼き芋をそっと放り込む。


トリ「うぅ~ん、おいひぃ~」


わたし「一本百円で買えたんだよ。めっちゃ安かった。お得すぎる!」


 トリは両翼を上げて、頬を桜色に染めながらうっとりした表情を見せる。


 穏やかな空間だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

トリに食事を与えたら喜んで食べてくれた。ほっこり !~よたみてい書 @kaitemitayo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ