片想いと魔法の髪飾り
ユウグレムシ
Part1
“自分の想いを押し付けるだけの告白はフェアじゃないよ”
お父さんはそうアドバイスしてくれた。
お父さんが、お母さんに婚約を申し込むとき、指輪を贈ったように。
好きな気持ちを受け容れてもらいたければ、告白される側にもメリットがなきゃいけない。
そして女の子は、キラキラ輝くアクセサリーが大好きだ。
だから、高級宝飾店とまでは行かないものの、僕のお小遣いでも手が届く雑貨屋さんのアクセサリーを物色中なんだけど……。
男の子である僕が、女の子向けの髪飾りを探すのは、なかなか勇気が要る。
もしもクラスメートに見つかったら、学校じゅうで噂されちゃうかも!
買い物は素早く済ませなきゃならないけど、たくさん並んでいる髪飾りのうちから、どれでも適当に!なんて選び方は、僕のプライドが許さない。
ここだけの話、僕はかわいいものが大好きだ。
リチアちゃんを好きになったのも、ホントのところは、かわいいリチアちゃんの毛皮の色に似合う、かわいいコーデでオシャレさせてあげたいと思ったから。
いろんな毛色、いろんな毛足、いろんな毛皮模様のかわいい女の子達。その中でもリチアちゃんは、ただかわいいだけでなく、僕にとって何故だかすごく特別に思えたんだ。
特別なリチアちゃんにプレゼントする髪飾りも、クラスの女子なら誰でも着けているような量産品じゃなくて、唯一無二の特別なものでないと。
リチアちゃんに一番似合う髪飾り……これだ!これしかない!
木箱の中で山積みの安物達とは別に陳列されている、お値段キツめの一個が僕の視線を釘付けにする!!
ああ、明日から当分、お昼のやきそばパンが、具なしコッペパンに……。
「お目が高いね」と、店番のおねえさん。
「そいつは旅の魔法使いが路銀代わりに置いていった一品ものだから、値引きはできないけど……包装代ならまけてあげるよ?」
プレゼント用に買うつもりでいたことなど、おねえさんにはお見通し。「プロポーズ、頑張りなよ」と言って、紙袋をリボンで括ってくれた。
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