第03話 DEEP PURPLE煙
現在、彼女が得意とするのは、
人体に影響の薄い毒の霧を撒き散らす技。
地球防衛軍関係者からは
『DEEP PURPLE』と呼ばれているが、見たまんま紫の煙。
「紫煙をくゆらせる」と言う言葉があるが、
その文字面を凝視した凛が、勝手に脳内の情報を書き換えて、
本来、白い濃霧だった
『DEEP PURPLE』を紫色に着色した。
どうやって、植物と一体に成れるのかって? 理屈は簡単さ。
能力に沿った種を飲用して、イメージによって発芽させる。
凛は小粋に
『DEEP PURPLE』発動時には、
キセルと言う小道具を欠かさない。
紫煙植物の種をキセルに仕込み、
更に自身の体内でも想像発芽させるので、
より濃厚な紫が彼女の小ぶりな口から、勢い良く、
濃い煙がもうもうと吹き出されることになる。
蛭子玉はゴキブリ退治のスプレーのように
『DEEP PURPLE』を喰らうと、
固まり、小さくなって動かなくなる。
容赦なく、僕のSTEELE SHOOTを見舞って潰すか、
凛が戦闘用トングでつまんで、埋葬BOXに丁寧に収納して鍵をしたら、
蛭子玉戦は我々のGOOD GAMEで幕を閉じる。
国営放送に取材を依頼したのは、凛の母親の音咲響子博士だ。
凛がファーストチルドレンと呼ばれる所以や、
蛭子玉の地球侵略、SEED CHARGEの開発等は、
響子さんが全て片棒を担いでいる。
蛭子玉の親玉は、サイレントヒルと言う名前で、
学校区地域の高級住宅街のOSマンションの15階に、
旦那と二人暮らしの「自称:極兼業主婦道」。
動作の遅い、スライムよりも、更に手応えが無い蛭子玉に
GPSを取り付けることなど容易で、彼等は従順に、
OSマンション目指して毎晩帰って行くのであった。
翌朝は15Fからエレベーターを使わずに、非常階段の用水路の中に紛れて、
地上に降り立つ努力肌。
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