「3番、ピッチャー、イスノくん」

まっく・えむ

第1話 目覚め

 オ(疲れさまで)ッス!オレ、イスノ・カッツォ。

 僕には前世?の記憶がある。

 ニホンのトウキョウ、セタガヤって町に住んでた記憶だ。あの世界は平和だった。差別もたいしたことなかったし、人間らしく生きていくのも難しくなかった。だいぶ長い期間、小学5年生をやってた気がするが、友達にも恵まれて楽しい日々を過ごしていた。


 ある朝、目覚めるといつものせんべい布団じゃなくてフッカフカのベッドに寝ていた。

 「ん?どこだ??ここは???」

 周りを見渡すといつもの見慣れた和室じゃなくて、すげぇ高級そうな洋室だ。高そうな壺に花が生けてあるし、ピッカピカの西洋甲冑がある。

 「こりゃ触らぬ(父さんの)髪に祟りなしだな。」

 けど、こんな高そうな部屋、もう2度と泊まれないかもしれない。後学のためによく見ておこうとベッドから立ち上がる。

 「?」

 視界がいつもより明らかに低い。土下座するマスオ兄さんよりは高いが、タラちゃんくらい低い。イヤな予感を感じながら、目に入った姿見を覗き込むと、そこには金髪碧眼の美少年(推定3歳)がいた。

 「うえぇぇぇぇっっ!?誰?これ??」

 自分の顔とは思えない整った顔をペタペタ触り、感触があることを確認する。ほっぺたをつねってみると、しっかり痛い。

 「ええぇ、マジか。。。あれか?岐阜の山ん中に彗星の一部が堕ちたりするのか?寝たら戻ったりしないかな?」

 ベッドに戻って目をつむってみたが、まったく眠れる気配がない。ウンウン唸っていると、コンコンコンっとドアをノックする音がした。

 「ふぁいっっっ!(裏声)」

 「カッツォ坊ちゃま、入りますよ。」

 しずしずとカートを押しながら入室してきたのは、峰不◯子も真っ青なダイナマイトバディのゆるふわロングで派手系美人なメイドさんだった。

 「おはようございます、坊ちゃま。」

 「お、おはようございます。」

 「あら、坊ちゃま。今日は朝から敬語でお話出来て偉いですね。」

 すっごいヨシヨシされた。メイド服の胸元がガッツリ空いて谷間が見えるし、なんかイイ匂いがする(キモい)。

 「今日もわたくし、ミーネが坊ちゃまの教育を担当いたします。」

 「あっ、はい。ミーネさん、よろしくお願いします。」

 「あらあら。わたくしのことは、いつも通り『ミーネ』、とお呼びくださいませ。あと、敬語の練習以外はいつも通りお話しいただいて結構ですわ。」

 「ミーネ、おはよう?」

 「はい、おはようございます。それでは、朝の支度をいたしましょう。」

 その後、美女に手取り足取り、洗顔やら着替えやらを手伝われ、トイレまで付いてきそうなのを必死で逃げ切ったのだった。

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