ホラ吹き屋の話

第1話：アスパ・ラガス

　みなさまみなさま、お初にお目にかかりまする。

　私（わたくし）、ホラを集め、吹聴して回ることを生業としております。ホラ吹き屋と申します。しばらくこの街に滞在させていただく予定であります。

　さて、今日はみなさまが良く知る植物、アスパラガスに関するお話をさせていただきたくございます。　　　　

　アスパラガスという植物は、正確にはアスパ・ラガスというのが学名でありまして、土の中・白いという意味を持ったラテン語からなっているのであります。

　この植物を見つけたのは、かの高名なジャカルット伯爵でありまして、サイコロの一を赤くしたのも彼の発明だという根も葉もない噂がございます。

　さて、アスパ・ラガスの話に戻りますが、学名にもありますとおり、この植物は本来白い茎を生やします。基本的には土の中で伸び、ほんの一部分だけが地上に出るのですが、品種改良を続けることによって現在のような形になったのであります。

　お分かりのとおり、ホワイトアスパラの方が本来の姿なのでありますな。

　なので、みなさま、今日、ただ今の時を持ってからはホワイトアスパラの方をアスパラ、緑のものをグリーンアスパラとお呼びいただけますと幸いでございますです。何せそちらが本家でありますので。

　そしてまたこちらも、似た系譜のお話であるのですが、原初のヨーグルトは乳にとろみがついた程度のものでして、今日のように固いものをスプーンで掬って食べることなどなく、液体を飲むだけであったようなのです。

　もうお分かりですね。私からのお願いでございます。

　みなさま、今日からは飲むヨーグルトをヨーグルト、固くてスプーンで食べるようなものを飲まないヨーグルトとお呼びいただけますと、私ホラ吹き屋の冥利に尽きるというものでございます。