第18話 路上喫煙
男はまた今朝もゴミを出しに行く。
自宅前のマンションの駐車場に若い男が一人いる。
マンション住民がわざわざ外に出て路上喫煙しているのだ。
誰か他の家族に外で吸えと言われているのか。
それとも自宅の壁や家具などが煙草のヤニで汚れるのが嫌なのか。
喫煙男が吐く煙が想定以上に拡散されている様子。
7,8m近く離れていても煙の粒子を感じる事が出来た。
男は両手にゴミ袋を持ったまま息を止めてゴミ捨て場まで走る。
苦しいが我慢してなんとかゴミを捨てると、息を吸った。
少し生ゴミの匂いがあるが煙草の煙よりはマシである。
男は喘息の持病があった。
正確には子供の頃からの小児喘息であり、気管支が弱いので煙草の煙を吸ったりしては発作を起こしてしまう可能性があった。
かかりつけの医者が言うには喘息の発作で死ぬ事もあるという話だった。
この喫煙男は、そういう可能性を考えているのか。
自分の欲求の為に他人の健康を害しても良いというのか。
今、もし自分が死んだら愛する家族はどうなってしまうのか。
自分ではなくても他の誰かが被害を受けるかもしれない。
それを考えて男は憤る。
「吸うなら自分の家の中で吸え!路上で吸う奴は、その手は煙草だけ吸ってればいい!」
聞こえないように文句を言う男。
煙草を挟んだ指がそのままになり、煙草の火が手元まで来ても離せないような感じの事をイメージした。
男は再度息を止め、ダッシュで家に戻るのであった。
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