第三十七話 国産のさくらんぼ
お姉さま。残念なおしらせがございます。
引き続き、お姉さまと実りあるお話ができることを願っております。
女はVPNで接続したシステムにメッセージを送り終えると、テーブルにあるティーカップから紅茶を一口飲んで、アフタヌーンティー用のケーキスタンドからサクランボを
「サクランボも
部屋の
「サクランボの
「ありがとう。それとね、もう一つお願いがあって、セッカを今すぐ呼んでちょうだい」
セッカという男は、小学校のバックネットに
この男はサンズマッスルのシニアプレイヤーの一人であったが、実はある投資ファンドの社員でもあって、CFO直属の特別主任という
ちなみにCFOとは、Chief Financial Officerの頭文字を取った略語で、日本語では最高財務責任者と訳される。つまり、会社が使うお金の
セッカはサンズマッスルでシニアプレイヤーを務めていたが、形態としては
とはいえ、セッカが雇用されたのはつい一年ほど前のことで、
セッカがサンズマッスルのシニアプレイヤーになったのは投資ファンドに
セッカは投資ファンドのビルに
「CFOがお前に用事があるそうだ。今から接続を確立するから少し待て」
そして、イヤホンのマイクに何かを小さな声でささやくと、少し間があってからこう続けた。
「四十二階の第十三個室に行け」
そういってセッカにセキュリティカードを手わたした。
セッカはエレベーターに乗って四十二階へたどり着く。そこはまるで高級ホテルのようなフロアだった。赤い
そこは人が二人対面で話すためのせまい個室で、ソファとテーブルが置いてあり、
この肖像画の男は、胸にいくつもの勲章があることからどこかの軍の高官なのだろう。顔には
それが
「
「弁護士とはすでに話がついている。
個室にあるテレビモニターが自動的について、
「これは音村の裏アカだ。ヤツはお前から工面してもらった金で、こんな
音村が金に困っているからといって、しつこく無心してくるので、セッカは金も貸していたし、やむを得ず
「くっそ、マジか……、あの
「それについては我々も協力しよう。無用な
テレビモニターに映されていた映像が、スーパーカーの前でポーズを決めるボイパ男の写真から、どこかの建物の図面に切り
「この図面は例の小学校の図面だ。以前、お前が
テレビモニターにポインターが現れて、校長室を丸く囲った。
「ここは数年前に改築され、お前が報告した通り、図面と
「ああ」
「よし。しかしだな、お前からの報告によれば、このかくされた秘密の部屋には理事長と
「それとスザクという女がいるだろう。あの女は他の国家権力に買収されたスパイだった。ヤツの目的も我々と似たようなものだ。先を
テレビモニターが消えて画面が真っ黒になると、肖像画の目も閉じられた。目だけが生身の人間だった異様な芸術作品は、普通の絵画に
ちょうどその
このネバーウェアは、はじめ服を着て入店していた。二人とも高級ブランドのロゴが入ったTシャツ姿に、大きなリュックサックを背負っており、スーパーに入るやいなや、ショッピングカートに買い物カゴを二つずつ乗せ、次々と食品をカゴに入れていくのだった。この様子を見ていた店長が
「うわっ、これ見ろよ、スゲェ高え」
「こういうの一度食ってみたかったんだよ」
などといいだすと、まだ会計をしていないというのにラッピングをはがし、なんと、その高額なサクランボを食べ始めるではないか。
「うわっ、うま!」
「マジかよ! くっそうめえ!」
これを見た店長は、部下に110番を指示した。そんなこともつゆ知らず、調子にのった一人が、その場でプッと種を口から
「ちょ、お前、バカかよ! 食いすぎだって!」
「うほほほほっ! ウマすぎ! マジうめえ!」
これを見て店長は絶対に許すまじと二人組に声をかけた。
「お客様。失礼ですが、まだお会計されてないですよね?」
「ああ?」
「だからなんだよ?」
店長はこの返事を聞いて話の通じないヤツだと判断し、
「会計されていない商品を食べられては困ります」
「別にいいだろ? 後で
「いいえ。会計前の商品ですので」
「ああ?」
男たちが店員の胸元を見るとその名札には「店長」と書いてあるではないか。
「店長? お前、店長なのか?」
男はプッと種を
「なあ、店長さんよう? お前これ食ったことあんのかあ? こんな高えサクランボをさあ? よくこんな値段で売ろうと思ったよなあ?
男はチュルンとサクランボを口に入れ、
「マジでくっそウメェぜ?」
この
「お客様の
「ああ? 何いってんだ!
「こんなくそ高え値段で売ってる方が犯罪だろうが!」
ここにガードマンが
「お客様、やめてください」
「なにすんだこの
男が手で
「な、なんだ? このパワーは! コイツら光合成人間だ!」
「お
「お前たち! 何をやってるんだ!」
そこに警察が二名
「お巡りさん! 大変です! コイツら光合成人間です!」
「な、なんだって?」
到着した警官は
「警察なんか来たってビビっかよ! 笑わせるんじゃねえ! あっははははははは!」
警官を見て男が笑い出す!
ドスゥン!
「警察くれえで
「なに? ということは、コイツはモールで大暴れしたネバーウェアだったのか! これはヤバいぞ!」
警官はすぐにこの事実を無線で伝え、必死に
「ネバーウェアだあ? 上から目線で
青柱は警官を前にドン引きするほど
「
「
「いい景色だぜ!
すると、何やら入り口の方が
「お
「ありがとうございます! 承知いたしました!」
「あそこだ! 行け! 行け!」
そこへ、対光合成兵器である赤いボンベと
「あはははははははは!」
青柱と
超撥水男はきれいにスライムをはじいてしまってまったく効かない! 青柱はどうかというと、ヤツに向かって
「効かねえ! まったく効かねえなあ! なんなんだそれは! テメェら死にてえのか!
なんということであろう! この二人組にどれだけスライムを浴びせかけたところでまったく効かない! それどころか、
あるいは
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