「旋夢」ターミナス・プロジェクトⅠ

@kakuyoooooom

プロローグ

この国は終わった


島の言葉が脳に木霊する。

「でも国が終わったってことはよ」

坂本はニヤリと笑った。

「俺たちは始まったんだ」

佐伯も頷く。

「そうだ。どこの国に行って、どんな仕事だってできる」

それを聞いて急に坂本は真顔になった。

「だからお前はバカなんだ」

そう言いながら岩に何かを掘っている。

島が覗きこむ。

「何書いてんだ?」

「まあ、なんだろうな。

俺の人生の課題だ」


"人間は人間であることを超え得るか"


岩に刻まれた文字は、力強く息づいていた。


そう、たった一つのニュースがこの国を震撼させた。

「我が国はこれより全ての門を閉ざす」

首相の一言で全てが変わった。


新聞の一面は連日国民を動揺させた。

"議会の解散"

"一党独裁?"

"食料品価格急騰"

"続く隣国の軍事圧力"


世界は岐路を迎えている。

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