■26『プレゼント』
「師匠が死んだ……?」
手に持っていた
「それは嘘。あの人が
「相手が
「……………」
可能性は十分有り得る。戦闘向きではない能力を持った師匠が何故、あの組織に飼われていたのか?
それは、放置するよりも手元に置いておく方が安全だから。そしてそれが失敗したと分かったのなら、早めに手を打つべきだ。
「なぜワタシに?」
「話が通じそうだったからです」
「それで
「言わずもがな」
欄玲は少しだけ、ほんの少しだけ思考を巡らせた。
それは話の真偽ではなく文との思い出・その記憶。
◇
「ガスマスク?」
「
初めての任務は国の重鎮、その屋敷に侵入しての現物資産の強盗。
侵入から数分で任務成功。そして戦利品を組織へ持ち帰る少し前、ソレを文から渡された。
探せばどこにでもあるような
女性に渡す贈り物としては無骨。
「師匠のセンスは最悪アル」
「あいやー、手厳しいネ」
「毒使いがガスマスクは
憎まれ口を叩きながら、その仮面を
「バーカ」
「弟子とは思えない罵倒に感謝」
「いいから帰りマスよ」
夜に光が閉ざされて、雨に音がかき消される。
高速で移動する二人の間に会話は無い。
先頭を走る欄玲は仮面で塞がった視界に目を細め、
「……
◇
地面に落ちた仮面を踏むように片足を置き、少年と話を続ける殺し屋。
「ワタシの役目は?」
「囮役です」
「僕の能力で姿を変えます」
「死ぬのが任務ってことアルか?」
「……そうです」
自己犠牲に一切の躊躇が無いべネップには、他人の命を天秤に掛ける経験があまりに少ない。
相手は犯罪者であったしても、死刑に等しい宣告は少年の心に苦痛を孕む。
「望む所」
しかしそれは杞憂。女の胸中は喜びの感情のみが支配していたからだ。
弔い合戦は望む所。何より死ねばまた会える。
死が二人を
「新しい
秘めた思いはあの世で告げる。誓いと共に
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