第20話 ……ミルク……
ご主人はニコニコ笑いながら話を聞いていた。ついていけているのか適当に笑ってるだけなのか……相変わらず表情が読めない。私が知る限りもっともポーカーフェイスな人間だ。
「話をまとめよう」他の人間の理解度を気にしてか、
「そうそう……」おや……? なんだか
「それはどうも」それから、
「そう……だね……」
ごめんなさい、と
「……疲れた……」
「ああ……
「そう」どうやら
「……混ざるっていうのは?」
「人格」
「ああ……」
なるほど納得した。たしかに
あまり長時間別人の体を使っていると、精神までが混同され始めるらしい。しかも今の
「お疲れ様。ありがとう」
「……ミルク……」
言って、
そして
「話したいことは話せたから、あとの行動は生徒会に任せる、とのことです」
反応したのは
「それは
「はい。疲れたから、ちょっと休むとも言っています」
「なるほど……回復にはどれくらいかかるのかな」
「えーっと……30分もあれば大丈夫だと」
その言葉に、ソファで寝転がる
「同じく……30分くらいで戻る」
「なるほど」
時間がないのはそのとおりだろう。悪霊のせいで生きている人間側にも幽霊側にも被害が出ている。早く問題が解決できるのであれば、もちろんそのほうがいい。
「それにしても……良いものが見れたねぇ……」頷きながら、
「そうですね」
談笑する2人に、珍しく
「あなたたちも乗り移られたらいいのに」
「それいいね」
「そうですね」意外にも乗り気なのが
「そうだね。結構私と
その会話に、ご主人が入っていく。ご主人が入るというより、
「
「おや……生徒会長としても先輩だったのか……なんだか親近感あるね」
……親近感か……魔王時代の私はそんなもの感じたことなかったな。魔王という役職は唯一私だけのものだった。他の時代ならば魔王と呼ばれたものは存在しても、私の時代には私しかいなかった。
「
そんなこんなで、
まぁそれでいいのだろう。現状、できることはない。
とにかく、この生徒会というグループは、かなりの仲良し集団らしい。私の率いていた組織は裏切りやら策謀やら金やら……そんな物騒な単語ばかり聞いた。その次代の組織とは、やはり違うらしい。
それとも……私の統率の仕方によっては、こんな組織にもなり得たのだろうか。私が力で統率したから、部下たちも力で己を示そうとしたのだろうか。
私の組織は、間違っていたのだろうか。生徒会のような平和な組織を作ることが、可能だったのだろうか。
そもそも、私はなぜ……世界征服なんて企んだのだったかな……
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