桜の下。
詞音
第1話桜の下。
これは桜の下で起こったことだった。
木の幹に寄り掛かってる俺の幼馴染み、西藤さくらは「ふわー」と、のんきに欠伸をしていた。
風がゆらゆらとそよぎ、桜がたまに散って行く。
とても綺麗で平和な景色だ。
きっと、ゲームやアニメ、小説ならこの平和な世界は無いだろう。それでも、ここには平和があるのだ。でも、これで本当に良いのだろうか?俺らは平和ボケしていないか?そんな不安も出てくる。
だったら、
「なぁ、さくら?」
「んー?」
「俺らはこんな平和でいいのか?」
「んー、いいんじゃない?今、幸せだし!」
「でも、こんな平和ボケをしているのは良くないんじゃないか?」
「そう?」
「このたるんでる世界を変えないと。でも、誰も変えようとしない。だったら、俺が。俺らが変えないといけない。違うか?」
「…違うよ。しかも私たちみたいなちっぽけな存在じゃ、そんなこと出来ないよ。それに、この世界はたるんでない。」
「なんでだ?」
「この世界に関わらず、人間は平和になりたいと思って生きてる。なのに平和な私達が平和を捨てる。そんなことしていいのかな?」
「平和は良いことだ。でも、でも!こんなに平和ボケしているのは良くないと思う!」
「だからって、世界を変えるって…」
「…さくらは俺が言ってることが間違ってるって言いたいのか?」
「…うん。」
「そうか。なら良い。でも、俺は変える。変えないといけない。」
「なんで…?やめてよ…意味分からないよ…!」
「…………」
平和な世界の桜の木の下。幼馴染みの意見がぶつかり合った。
こんなに平和だからこそ、平和ボケが起きてたるんでいる世界を変えないといけないと思っている男の子。
こんなに平和な世界は他にないのだから、平和になりたくてもなれない人もいるのだから、この世界を変えるのはおかしいと思っている女の子。
あなたはどちらが正しいと思いますか?いやそれとも…。
この先、どうなっていくと思いますか?女の子が止めたのか、男の子が世界を変えようと行動を起こしたのか、それは誰も知らない世界に存在するのです。
ただ、最後に、
全ての桜が散っていった。
これが確かです。
ーENDー
桜の下。 詞音 @sonnyukibana
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