第2話 キャラクタークリエイト

 透明の板に触れると、中には僕の全体写真と色々な数値が書いてある。



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《ユーザー》

[名前] 駒田健こまだたける

[種族] 人間/男/童貞

[年齢] 17歳

[身長] 155cm

[体重] 78kg

[チン長] 最大5cm


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「おい、一番痛いところを載せるなよ!」


 僕は最後の項目を見るとつい突っ込んでしまった。いや、物理的には突っ込みたいがまだここに書いてある通り未経験だ。


 僕の股間は脂肪で埋もれているのだろう。そう思いたいと自分にいつも言い聞かせている。


 そのまま透明の板を見ていくと、ゲームのようなステータス画面が現れた。



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《ステータス》

駒田 健 Lv.1

[能力値] ポイント3

HP体力 10

MP魔力 17

STR物理攻撃力 8

INT魔法攻撃力 0

DEF物理防御力 10

RES魔法防御力 0

DEX器用さ 13

AGI素早さ 5

LUK 0

[固有スキル] キャラクタークリエイト

[スキル] なし


――――――――――――――――――――



「これって僕のステータスってことか」


 名前の下に能力値とたくさんの項目がある。


 これがステータスということになるのだろう。


 ここはゲームの世界なのか、流行りの異世界転生や転移でもなく、こういう現象をなんというのだろうか。


「ゲームならこのステータスは弱い方だろうな」


 鏡の世界でも僕は弱かった。ゲームでも初期ステータスが二桁ないのが5つもあることは滅多にないだろう。その中でも0が存在しているからな。


 見た目も変わらない僕はこの世界でも、雑魚のモブキャラ程度ということだ。僕は振り返り鏡の中に手を入れて帰ることにした。


「痛っ!?」


 だが、僕の手は鏡から弾き返されてしまった。


【クエストをクリアしていないため、帰ることはできません】


【キャラクタークリエイトをしてください!】


 どうやらクエストをクリアしないと、元の世界には帰れないらしい。


 そもそもあんなことがあった元の世界に帰る気もない。


「とりあえずステータスを振ってみるか」



――――――――――――――――――――


《ステータス》

駒田 健 Lv.1

[能力値] ポイント0

HP体力 10

MP魔力 17

STR物理攻撃力 9 (+1)

INT魔法攻撃力 0

DEF物理防御力 10

RES魔法防御力 0

DEX器用さ 13

AGI素早さ 7 (+2)

LUK 0

[固有スキル] キャラクタークリエイト

[スキル] なし


――――――――――――――――――――



 力がなく、足が遅い僕はステータスの中でSTRとAGIにポイントを振った。


 そんなに足の速さが必要なのかと言われたら悩むところだが、単純に全力で走ってもそこら辺にいる園児にも勝てないレベルだ。


 そして、明らかに数値が低めで、スキルに魔法名がないことから魔法は使えないと判断した。


 そうなると、魔法関係のステータスは必要なくなる。


 物理防御に関してはAGIの倍はあるってことは、少しは期待できるだろう。


 それよりも魔力が年齢と同じなのは、きっと何かに関係があるのだろうか。


 種族に童貞って書いてあるし……30歳まで守っていたら、魔法使いにでもなれるチャンスが来るのか?


 そんなことを思っていると再び声が聞こえてきた。


【キャラクタークリエイトを終了します】


【本日のクエストはホーンラビットの討伐です】


「ホーンラビットの討伐?」


 目の前にはクエストが書かれた透明の板が出現した。そこにはクエストの詳細が書かれている。



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【デイリークエスト】

[クエスト名] ホーンラビットの討伐

[討伐数] 1体

[制限時間] 24時間


――――――――――――――――――――



 ホーンラビットってことは、名前からして角が生えたウサギで合っているはずだ。


 きっとチュートリアルのようなものなんだろう。


 そして視界の縁では制限時間のカウントダウンなのか、時間が少しずつ減って表示されている。


「よし、それぐらいなら朝飯前……何か食べてから行くか!」


 僕はキッチンに向かい、食べるものを探した。


 家の中はやはり全て鏡の世界だからなのか、位置が反対になっていた。


 冷蔵庫の中には晩御飯の残りの唐揚げが置いてあった。


 昨日は考え過ぎて夜ご飯を食べずに寝てしまったからその残りだろう。


 僕は唐揚げをお腹いっぱい食べてから、鍋の蓋と包丁を持って玄関に向かった。


 ゲームの中では鍋の蓋って初期装備の定番だからな。


 少し心許ないが近くにあるものはこれしかない。


「よし、行くぞ!」


 僕が玄関の扉を開けて顔を少し出すと、そこには小さなウサギが座っていた。


 頭には大きなツノが付いているから、きっとあれがホーンラビットなんだろう。


 僕の存在に気づいたのか、キュルルンとした大きな瞳がこちらを見ている。


「可愛い……こんなの殺せないだろ」


 元々動物好きな僕にとってはウサギを殺すということは酷なことだ。僕は包丁を玄関の地面に置くと、扉を大きく開けた。


「ウサちゃんこっちにおいで!」


 ホーンラビットは僕の声を理解したのだろう。


 向きを変えると大きく踏み込んで飛んできた。


「うぇ!?」


 あまりにも唐突に近づき、僕は全く反応ができなかった。


 これもAGIの低さが関係しているのだろうか。


 気づいた時には鍋の蓋が半分程度齧られて無くなっていた。


 ホーンラビットは振り返り、歯をガシガシと鳴らしている。


 命の危険を感じた僕は急いで玄関を開けて家の中に入った。


「どこがホーンラビットだよ! 歯がガシガシ鳴ってたぞ!」


 どうやらホーンラビットの見かけと中身は違うようだ。

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