9. 殺人茶
紅茶を一杯いただく
奇々怪々縁あって
海の向こうで少年が死んだかもしれぬ
茶葉の揺れが遠くに響いて
千年後の大津波となったかもしれぬ
歩いては殺し
目を瞑っては草木を生かす
手を振れば彼方が絶え
息を吐けば此方が守られ
さりとて動かなくては我が消えゆく
星の胎動が軽く千の命を屠るように
ただの香気が万の民を産むだろう
故に紅茶を飲むときは
衆生の悲しみを極上の甘露とし
我のにがさを楽しみにかえて
精一杯いただかねばならぬ
十方を斬り伏せるのは何も刀だけではない
白いカップを一捻り
吾人を殺すには事足りる
では活人茶とは何であろう
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます