7. 悪い恋人
君が気まぐれに体育館に来たことが奇跡だよ
バスケなんて興味ないくせにさ
センターラインから
あれは綺麗なシュートだった
友だちはみんな目がハートになったさ
わたしもそのひとりなんだ
ピアスだらけでタトゥーも入ってる
目つきが悪くて大麻もやってそうだと囁いた
ユニフォームがいやらしいから見に来たなんて
悪い男だと盛り上がったね
みんなそれで惚れちゃうんだ
なんでわたしなんかに告白したのさ
本物の優等生は勉強なんてできないんだ
人生に意味なんてないと思っていた
天才はできるが俺はそうじゃない
嘘は云ってねえよ
講義室からお前を見て
エロいと思って行ったんだ
俺の目が赤かったから大麻を疑ったのか?
穴が空くほどお前を見つめたんだ
808みたいな気分さ
絶望的に気持ちいい低音が鳴りやまない
何をやっても過去に沈んで消えるじゃないか
オクターブ下なら聞こえないだろう
だから気まぐれでもまぐれじゃない
凡てが過去に寂滅するなかでお前だけは逃せなかった
なあ気づいているか?
考えているのはいつだって過去か未来
今を想像することなんてできないんだ
言葉も思考も此処にはない
俺は今此処にしかいないのにな
付き合ったら友達みんなに嫌われた
君がやめたからわたしもやめた
好きだからってユニフォームで寝てあげてるけど
爛れた大学生活も悪くない
本当に悪い男だったよね
今を想像することなんてできないんだ
言葉も思考もここにはない
俺は今此処にしかいないのにな
お前はお前が去るまで俺の恋人なんだ
言葉を使うのをやめたんだ
だから過去も未来も俺もお前も知らない
バスケなんて興味ないくせにさ
センターラインから
あれは綺麗なシュートだった
それはお前のことでもあるんだ
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