音律的アリア(現代詩)

存思院

1. 水神社

河辺の水神様のために

自転車は水たまりに沈んで

(青い プラスティックの橋の上)

泥を跳ね上げたのは法輪でしょうか

 

暗がりの石仏を観るために

曲がる腰を支えている

(土の車輪は背後で眺めています)

無垢な脚は信仰でしょうか


わたくしの宝物は

水平な田畑の端っこで

突然に透き通るお社の

先の景色を感ずることだったのかもしれません


焼かれた黒い草々は

魚のつくる横の流れに対抗して

今も煙を高く〳〵飛ばしています

(縦横十文字に)

 

見守るわたくしの体には

水も火も自由〳〵に流れていて

合わせた手の平には

例えば自転車が沈んでいるのです

 

振り返ったわたくしは

それをひっぱり出して

青い橋をもう一度濡らし

空を流れてゆくのでしょう

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