第31話 モンスターパレード

 急いで2階に上がると事務所には、いつもの事務員さん達と探索者達が忙しく動いていた。


 何かあったのか?


 俺は事務所のドアを開けて中に入ると安藤さんの姿が見えたので…


「安藤さん!すいません!」

 声をかけると安藤さんは俺の顔を見て〜

「神宮寺さん!?良かった〜神宮寺さんは巻き込まれなかったんですね!」


「何があったんですか?」

「モンスターパレードが発生しました!」

「モンパレだって!?」


 モンスターパレード(略称モンパレ)

 …沢山のモンスターが興奮して暴走する状態を【モンスタートレイン】と呼び本来、階層を降りたり登ったりまたは安全地帯に入る事で回避できる現象なのだが…

 それが通用しない現象が稀に発生して別階層、安全地帯に入り蹂躙してしまう現象を【モンスターパレード】または【モンスターカーニバル】と言われる。


「俺は9階層にいたけどモンパレは何処で?」

「それがはっきりしないんです!少なくとも10階層より上のようですが現在、1階層からモンスターが溢れるのを残留している探索者達が排除しています!」


 俺はすぐ飛び出して斑鳩ダンジョンに向かうとさっきの怒号がはっきりと聞こえるようになる。

 ダンジョンの入り口からぞくぞくとモンスターが溢れて出てくる。

 コボルド、ゴブリン、ホブゴブリン、オーガなどノーマルタイプのヤツとさっき8階層であったサーベルタイガーやフォーレストタイガーも見られる。

 探索者達も下はF級からC級も見られるのでフォーレストタイガーが1番厄介だがC級がいれば大丈夫…


 しかし最初、下の階級しか探索者がいなかったのか怪我をした探索者達が溢れていた。


「誰か!ポーションありませんか?」

「回復スキル、使えるヤツいないか?」

「意識をしっかり保て!目を瞑るな!!」


 そうだな…迷う必要は無いな!


【キャラインストール】ピクコロ大魔王 魔Jr


 再びピクコロさんに…そして…

 クリエイト1消費して…


【神変化】

 さっきのピクコロさんとは違いシワの多い姿のナメク星人へ変わり、服に神と大きく描かれてマントと杖を持っている。

 生命力も精神力も全快になってる気がする〜ありがたいな


 ドラゴンオーブの神様へと変化した俺は…

【範囲回復】

 スキルを発動して怪我した探索者達の回復を行なった。

 完全回復はできないが少なくとも重症だった者は危機を脱するぐらいには回復しているようだ。


 片手、片足を失ってる相手には【神手】で見えない手を当てて…

【完全回復】

 スキルを発動する…


 3人程、茫然としていた探索者達の手や足が切断されてた処からニョキニョキと生えてきて次第に欠損して失った腕や足が戻っていく

「え?おおお手が?!」「足が元通りに?」「何コレ?」


 あまりの出来事に驚くが傍に立ってた自分に気付き、その人たちは俺の姿を改めて見るが…

「え?!」「神?!嘘?」「神様のコスプレ?」と口々に呟くが…


 中には…

「デウスレイヤーズの神宮寺さんだね〜ありがとう」

 手を掴んで握手してくる人物もいた。

 まあ斑鳩ダンジョンでコスプレしているのは自分のところだけだからね…


 正気に戻った一同はそれぞれ礼を言ってくる。


「まだ怪我してる人は?」

「こちらにはもういません」

 俺は頷くとダンジョンの入り口の方へ…



 ソロ、パーティー合同で魔法やスキルで入り口へ集中放火して飛び出してくるモンスターに対処していく作戦のようだ~


 自分もスキルで対応する為にC級探索者の指揮官に声をかける。

「何だ?…ああデウなんちゃらの神宮寺か?手伝ってくれるのか?」

 俺の姿を見ると怪訝な顔をしたがこの斑鳩で変わった事をしている程度の知識はある様だ…


「回復を…疲労回復と精神力を回復が可能です。」

「何?本当か?なら使ってやってくれ!そろそろ後衛職の連中の魔力が尽きそうなんだ~」

「分かりました」

 俺はその場でスキルを発動する。


【神水雲】

 中衛、後衛全体に手をかざすと薄い雲が、上に広域に発生して水分を漂わせる…疲労回復に少しだが精神力の回復を兼ねる。


 疲労の見えてた探索者達に活気が溢れていく…


「ほう~すげ便利なスキルを持ってるな!よしこの調子で頼む」

 指揮官はその効果に舌を巻く~


 続けて…


【天地玉】

 …

 …

 …

 キィーーーーーン!

 1分程、周囲から集めた気を溜めて杖から気の玉を入り口付近に放つ!


 ドッカン!


 凄まじい爆発音と衝撃波がモンスター達を薙ぎ倒していく!


 その一撃で怯んだのかモンスター達は入り口から出ようとしない。


「よし一旦、前衛は回復と補給を兼ねて下がれ!中衛はサポートに!」

 C級探索者の指揮官は指示を出す~


 前衛に立ってた連中は相当の疲労の為か人目を憚らずに、そのまま寝て息を整えたり各々携帯食や水筒で補給と、回復職の人達も重傷者から治療を進める…

 俺も今一度~


【神水雲】

 前衛の連中と回復に回ってる後衛職の方達に疲労回復と精神力の回復を続ける。


「お~い誰か助けてくれ…こ、こいつを頼む…」

 突然、入り口から出てきた男性探索者が見るからに死にかけてる女性探索者肩に担いで連れてきた。


 俺はすかさず

【完全回復】

 スキルで回復して足がグチャグチャに折れていた足も回復し欠損していた頭の一部も修復し回復…


「ああ、良かった…ありがとう…」

 そう言うと女性探索者の手を取って生き延びた事に感謝しているようだった。

 しかし男性探索者の顔を見て気がついた…


「パーティーの仲間の皆さんは?」

 それを聞いて一瞬、喜びの顔が消えて…

「へ?…あ、あ〜バラバラになってしまってそれぞれで逃げてきました」

【俺とコイツさえ生きていれば後の連中の事はどうでもいい】

【嘘看破】発動


 そう、この男性探索者は那岐を雇ってたパーティーのリーダーだった事に気がつく…


「那岐…那岐はサポートとして参加してたんですか?」

「ナギ…あ〜ナギは俺達を、そう!に、逃す為にオトリになってくれたんだ」

【ナギの野郎、言う事聞かないから足を折って置いてきてやったぜ】

 俺はそれを聞いて立ち上がり…

 コイツの対処はまた後だ!


【転移】甲斐道那岐


 一刻も早く彼の元へ!

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