第7話 とある女性探索者 鈴見華鈴の体験

 ヒュー


 ヒュー


 ヒュー


(もう…限…界も…う死…ぬ…こん…な…と…

 意識…がもう……う…

 こっ…ち…くる…な…いやだ…帰りた…いよ…お母…)


 目の前にはオーガが3体、動けない探索者2人…


 私達は必死になって階段を目指していたところを不意打ちを喰らって吹き飛ばされて相方の冥耶めいやは意識を失ってしまった…


 私も身体に力が入らない。


 冥耶も全然動こうともしていない。


 ポーションも、もう無い…


 他の3人は逃げれたのだろうか?救援を頼むにしてもこっちはもう間に合わない。


 この後、自分がどうなるか考えなくても分かるだろう。


 オーガの手が伸びてきて…


 もう駄目だ…と


 そう諦めかけていたとき…


 私の身体は靄?雲みたいのに乗せられて浮かんでる感覚を感じていた時!


 突然、目の前のオーガ達が白い光線が襲う!


『【凱王拳】!【火面破滅波】!!』の叫びと共にオーガ達に眩い光の光線がブチ当る!!

 ふと気がつくと目の前に男性が立っていた。

(この後ろ姿は…まさか空冴?!ドラゴンオーブの空冴なの?…え?!)


 この後ろ姿は漫画やアニメでよく見た光景だ…


 アニメでよく仲間を助けに来た、アノ子供の頃に観たドラゴンオーブの空冴だ…え?コスプレ?本物?


『【不意打ち】発動したのに…流石に一撃で倒せんか?なら【凱王拳】ー2倍だああー!!』

 紅いオーラを纏った空冴がオーガに突進していく!


 オーガの一体に蹴りをくれて反動でくるくる回転しながら踵落とし、最後の一体に肘打ちを顔面に叩き込む。

 かろうじて動きが見れたがそれは遠くから俯瞰して見てたからに違いない。


『もう1回だ!【凱王拳】!!【拡散双気弾】!!!』

 再び紅いオーラを纏って両手から大きい光線が飛んでいく

 オーガに当たる瞬間、空冴は『ハァァ』と両手を上げて気弾はオーガの頭上の上空に!


『ハァァァァァァ!』

 そのまま振り上げた両手を今度は下に向けた。

 その瞬間、気弾は3つに分かれてオーガに着撃する!!


 ドゴーンィィィ!!


 オーガ3体は黒焦げになって…


 あ…1体まだ動いてる?



『流石だな、見た目以上のタフさだな…もうこっちも力が残り少ないな…これでトドメだ!【雷王拳】!!!』

 今度は黄色くスパークした雷みたいなモノが身体全体を覆う…

(あれって劇場版のオリジナルの凱王拳?確か昔、動画で見たような…本当、空冴だ…)


 私はそこで意識が途絶えた…







「どうだ?聞こえるか?」

 私はこの声でようやく覚醒したみたいだった。


 そう聞いてきた人の顔を見ると空冴では無くて男性の探索者だった。

「これポーションだけど、ちょっと飲めば効くからゆっくり飲んで…」


 そう言うと陶器の瓶を口に押し当てられる…ちょっとの量を呑むと…

 瞬時に身体の気怠さが軽減された。まだ疲労感はあるがさっきよりは良い。


「大丈夫か?」

「あ、はい!だ、大丈夫です」

「ポーション1本しか無いんでな〜もう1人にも呑ませないとな」


 そう言って彼は相方にも呑ませようとする。

 まだ相方は目が覚めてないが、彼は口に瓶をつけて、ほんの少しポーションを呑ませる。


 身体全体に青い光が灯ってすぐ消えたが、顔がさっきより赤みを帯びている。


「彼女は覚醒しないか…君は立てそう?」

 私はそう言われて立ち上がろうとして足首に激痛が走る!


「痛ぁ!」

 私は思わず右足首に手を当てる…そういえば倒れた時に捻ったかもしれない。


「足首が痛いのかな?靴脱がすね」

 彼は私の靴を脱がして靴下の上からポーションの液体をかける。

 さっきまで痛かった足首から痛みが消えていく


(そのポーションもしかしてめちゃくちゃ高いヤツ?!)

 ほんのちょっと呑んだりかけただけでこんなに回復するんだからハイポーションかも?!

 まだ5階層で活動している自分達にとってハイポーションはまだ手が出せない代物だ…

 せいぜい安い三流品のポーションが限界だ…


「すいません…そんな高そうなポーションを使わせてしまって…」

 私はまだ名も知らない男性に謝るのだった。


「あ〜大丈夫…も、貰い物だからさ…ははは(次の日には補充されるし)」

 彼の顔が引き攣ってる。



(やっぱり高いんだ)



「すくには返せないですが、必ずお返しします…そうお名前を聞かせて下さい!私は鈴見華鈴すずみかりんです!!D級です!」

「あ〜神宮寺彰人です…まだF級です。」

(え?!ここ5階層のはず…見たところソロのようだけどソロで潜るにはC級は無いと難しいはず…何故?)


「あ〜まだ更新してないからね…はははは~あ、それより相方さんを連れて行かないと!」

「はい!すいません!!お手数お掛けします。」

 彼は冥耶を担いで、私はその後を追った…運良く敵にも遭遇せず階段に着くと、階段中間に設置したある転送装置にカードを近付ける。


 私達は光に包まれながら短くも長い一時が過ぎていく。


 転送地は事務所横、私は2階に上がりパーティー分断で救助要請を伝える。


 相方は1階の医務室で休ませる…私は神宮寺さんにお礼を告げ連絡先交換して、ようやく…




 結局、私もすぐに意識を失ってベッドの仲間となるのだった。


 私が目覚める頃、次の日となっていて近くの病院に搬送されていた。


 そしてその日の夕方にパーティーの残り3人が死亡してる事を告げられる。


 私達は運が良かった…それだけだ…

 とにかく暫くは潜る気力も無い。


 病院のベッドで寝ながら思う…


(あの空冴は私が見た幻なんだろうか?神宮寺さんは空冴を見てないのだろうか?はあーまた空冴に会いたいな〜神宮寺さんにメールして聞いてみようっと!)






 道場に生えてる植木を鋏で余分に生えてる枝を切って綺麗に整えていく。


 今日は溜まってる道場の修繕に赴いて今は木を伐採したり整えたりしている…この辺の知識などは師匠から教わっているから慣れたものだが、最近ダンジョンばかり入っていたのでなかなか行く機会がなかった。


 まあカオルさんから

「いつ木を整備に来てくれるのかな?」と催促の連絡が来てようやく来れたのだから本当、駄目である。


「アキちゃん~お茶入れたから少し休みなさい」

 カオルさんが気を利かしてお茶を入れてくれたようだ。



 ふとスマホに着信音が…

 見ると鈴見華鈴さんからのメールだった


 内容は…

『この前はありがとうございました。落ち着いたら是非お礼をしたいので…またご連絡します。

 それで1つ聞き忘れてたのですが、ドラゴンオーブの空冴に会わなかったでしょうか?

 あれは余りにもリアルでしたのでご存じありませんか?』

 


 ………

(むう〜これは…夢のままにしておいた方が幸せだろうか?)



 俺は鈴見さんに…

『身体の調子は如何ですか?

 それと空冴ですか?確かドラゴンオーブ芸人さんがダンジョンにいるとか噂は聞いてますが…

 自分は空冴を見てないですね

 ポーションの事は気にしないで~

 ではどうかご自愛くださいね』

 …とメールに返した…


 流石にまだバレたくないな〜

 もう少し強くなってから…かな?


 さてこの前のオーガ戦で沢山ポイント貰えたからな〜ひとまず瞬間移動を覚えたからピクコロに集中するか?


 新しいコスプレを用意してインストールするかな?


 悩むな…



神宮寺彰人

ステータス

職業: コスプレイヤー Lv18

 生命力:508

 精神力:315

 攻撃力:331

 回避力:343

 筋力 :166〈Lv18+キャラ5+SLv26+孫30〉

 器用 :165〈18+5+26+30〉

 敏捷 :177〈18+5+26+30〉

 知力 :152〈18+5+26〉

 魔力 :163〈18+5+26〉


神宮寺彰人(キャラ未使用中)

 生命力 381/445

 精神力 142/283

 武器 護神刀   …攻撃+100(Lv18+Lv9+攻331):攻撃力:458

 防具 マント   …防御+05 (Lv18+Lv9)    :防御力:032

          …回避±00 (Lv18+Lv9+回343) :回避力:370

スキル

戦闘スキル

 ・夢双一刀流刀術Lv09

 ・夢双一刀流槍術Lv07

 ・夢双一刀流拳術Lv04

コスプレイヤースキル

キャラインストール〈ギフト〉(5)

 ・ダークロード

  ブライン・アーグウルス〈集中力〉

  エルリー・ウルスズ  〈天賦〉

 ・ドラゴンオーブ

  孫空冴        〈能力向上〉

  ピクコロ大魔王 魔Jr. 〈同化〉

  クリリイ       〈不意打ち〉

クリエイト(回数14回)

 ・Original 〈アイテムボックス+1〉

 ・ブライン〈護神刀、鎖着、薬鞄+1〉(未)首飾、指輪

 ・エルリ―〈神太刀、胸当、籠手〉(未)ピアス

 ・孫空冴 〈伸縮棍、神空雲〉(未)重インナー

 ・魔Jr   〈ターバン&肩当マント〉(未)■

 ・クリリイ〈(未)■〉

キャラクタースキル

 ・アーグウルス我流刀術 Lv07

  兆し(危険感知)、円展開(派生)、雷火、身体向上、雷光閃(轟雷)、雷火4連(神雷)、身体超向上★

 ・ウルスズ  我流刀術 Lv04

  牙斬、縮地、牙圓斬、縮地改★

 ・孫空冴   龜流拳術 Lv06

  気配広域、気合砲、火面破滅波、凱王拳(炎水風土)、天地玉、瞬間移動★

 ・魔Jr.    魔王拳術 Lv05

  爆力、魔弾(包囲陣)、怪魔眼、魔手、魔螺旋光殺法

 ・クリリイ  龜流拳術 Lv04

  気配(完全遮断)、閃光拳、武空術、拡散双気弾(追尾弾)




 スキル解説

 身体超向上 …肉体能力を一時的に上昇させる。身体向上の上位剣技…英雄の領域に達した者が使える(例外もある)


 縮地改   …足を動かさず、スライドするように移動できる。前後左右どちらにも移動できる。<縮地>の改良版。


 凱王拳   …天界に住む凱王が考案し、孫空冴が完成させた気の超開放技術。

 通常は戦闘力アップの不可能な気の開放状態から、1.5倍ものパワーアップを実現できる夢ような技で2倍、3倍、4倍と戦闘力を上げられるがリスクが伴う

 炎のように赤く燃え上がるオーラが特徴。


 雷王拳   …劇場版に使用した凱王拳の派生拳技で戦闘力を2倍もパワーアップできるうえに精霊の王達に認められて、凱王拳に精霊王の力を宿して攻撃力を上げる

 風の精霊王は雷王拳、火の精霊王は炎王拳、水の精霊王は海王拳、土の精霊王は剛王拳などある。


 火面破滅波  …ドラゴンオーブ主人公の孫空冴の使う必殺技。龜流かめりゅう闘気技で師匠、クリリイ等、数多くの者が使う。体内の「気」を両手に凝縮して放つ技。片手で撃つ闘気弾もあるがこちらは凝縮せず放つ技の為、威力は低め。


 拡散双気弾  …拡散と追跡双気弾の2つあって両手で片手ずつに少し大きめの気弾を放つが拡散は相手に撃って上空に上げ下にいる敵に落とす。追跡は敵を追跡する気弾。クリリイのオリジナル闘気技


 瞬間移動   …文字通りのテレポート能力。気を探った相手の目の前に一瞬で移動できる。 戦闘中に不意打ち攻撃を仕掛けることも可。身体に触ってれば複数人の移動も可能。原作は気を探らないといけないが一度でも会って話した人は自動的に登録される。



 

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