第6話 おばあちゃんの事情
座布団屋のおばあちゃんが丁寧に包んでくれたおかげで、
少しだけ重たい座布団を簡単に持って帰る事が出来た。
俺は自分の店の時計を見る。
【お?11時だな?まだおばあちゃんの所へ、生ジュース持っていく時間は充分あるな?】
『その前に……。』
『さぁ、あずきーー、座布団だぞ~~。』
あずきは何処となく、嬉しそうに座布団に座る。
俺は、考える。
『そうだな?店先にあずきに
居てもらうかな?ハハハ。そうしよ、』
あずきは、気分良さげに伸びをする。
『ニャー、ゴロゴロ。』
そして俺は、おばあちゃんに持っていく生ジュースを用意し始めた。
少しだけ考える。う~ん。
『ニンジンとリンゴだな?』
後は……百合の花も準備した。
ジュースを作り出すと、おばあちゃんが1人身になった頃を想い出す。おばあちゃんは気丈に振る舞っていたが。
やはり悲しかったんだろう。
俺は真心込めて、生ジュースを作った。
『おしっ!!出来たぞ!!おばあちゃん喜ぶだろうな~。』
『あずきはどうする?行くか?』
仔猫だから1人にすると少し不安だが。
どうしたものか?
悩む俺の足元にあずきはスリスリと体を寄せてくる。
『そっか!!行くか?よしっ、』
あずきを肩に乗せ、座布団屋へと急いだ。
座布団屋へ着くと、おばあちゃんは申し訳なさそうに俺達を出迎えた。
『早いわねぇ~。』
おばあちゃんに生ジュースを差し出す、と同時に百合の花束も
差し出した。
おばあちゃんは不思議そうに俺の顔を見つめるが。俺は続けた。
『ご先祖様が苦しんでる!おばあちゃん。嫁と姑問題あるんだろ?』
おばあちゃんはその言葉に大変
驚いた!
『え?……何で?!』
『無くなった爺さんの為に……
無理して墓参りしてるんだろ?
嫁さんを甘やかせ過ぎだよ。おばあちゃん。何でもかんでも、抱え込みすぎだ!少しは休まなきゃ。』
おばあちゃんは、不思議そうにしていたが。次第に涙を流した。
おばあちゃんは、やっと理解者が現れた。と感極まって涙を流した。
俺は思った。
『ばあちゃんの為に……祈るとするか?』
とボソッと独り言を言うのだった。
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