異世界になって行く世界を

高宮 つかさ

第1話 日常 狂気 狂喜

チャイムがなる。

「皆さん。テストお疲れさまでした。」

教室が一気にざわつく。

今この瞬間、学生の最大の壁であり、今年最後の敵であった定期テストが終わった。

「やっと終わったー」

「どうだったー」 なんて周りが話している。

すると、終了の合図を告げた先生が話を始める。

「…なさん……ても…勉強は…てく…ね。」

「ひと……言葉………ま…」

「自分自……信……だけで…」

………と何か話しているのはわかるのだが、学生たちは話には興味がないようで。

先生も一切聞いてもらえてないのに話続けるのすげぇな…。なんて考えていると、満足したのか、先生は教室を出ていった。


「この後どうする?」

と中学から仲の良いクラスメイトから話しかけられる。

「悪い。今日バイトだわ。」

「またかよ~。キョスさぁ、金貯めてナニに使うんだよ?」

「きまってんだろ、ラノベだよ。あと、キョスって言うな。」

「恭輔って言うよりは親しみあっていいじゃん。」

「よくねぇよ。…まあ、正月過ぎたら時間作るから、また誘ってくれ。」

「もちろん誘うよ。じゃあな」


…いいやつだよなぁ。こんなハジッコにいる俺に話しかけてくれるやつなんて、あいつくらいだわ。

俺はクラスだとハジッコの民。

ラノベ片手に登校し、ラノベ片手に帰宅する。

もちろん内容は異世界転生。現実にないものを求めてしまうものだよ、人間は。

こんなこと考えながら、早速バイト先へ。

もちろん帰宅部。バイトで忙しいからな。友人から差し伸べられた蜘蛛の糸を払いのけ、ラノベのために今日も働く。

今日のお金はなんのラノベに捧げられるんだろうか。

能力ものがいいかな。




 ………ワタシは何故こんなことをしているのか…。あの者達への復讐と批判してきたあいつらに、

「すごい」「君が正しかった」

と言わせてやるために高校に来たのに、目の前に

『実験台』はいくらでもいると言うのに…。

「そろそろか…」

「何がですか?」

しまった。声に出てたか。

「落ち着いて趣味をしようと思いまして。個人的に実験もしますから。」

「さすが科学の先生です!頑張ってくださいね!」

「はい。応援してもらって、俄然やる気が出ました。ありがとうございます。」

…単純な頭だな。











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