第4話
「にしてもしつこい……!!」
私は軽々と走っていく。周りの人たちはぜーはーぜーはーしていてほとんどの人が追っかけてこない。私は多分街を1周したのだろうかおばあちゃんの家の前に着いた。
「お水もらおう……それと黒染めができるもの探さなきゃ。」
走って汗がダラダラ出てるし、喉もカラカラ。久々にこんなに走ったかも……。
私はおばあちゃんの家に入ろうとしたとき背後から誰かに抱きしめられた。
「美晴!!お前なにしてんだ!!」
と1人の着物を着た男の人に抱きしめられた。その人は顔立ちもよく、いわゆる塩顔イケメンだった。それにお香の匂いが少しした。
「あなただれですか!?」
と私は必死に腕を振りほどこうとした。するとその人は不思議そうに顔を見て
「だれって……お前の婚約者の
そこで私は動きを止めた。八乙女……おばあちゃんはおじいちゃんと結婚したんじゃないの……?私は頭をフル回転させおばあちゃんが八乙女というワードを詮索した。
すると八乙女が
「お前なんかおかしいぞ……」
「おかしくて結構」
私は必死に詮索したけど、んーっと唸るだけでなかなか出てこない。すると玄関からおばあちゃんが出てきた。
「拓哉さん!!何してるの!!」
「え!?美晴が2人!?」
おばあちゃんはお茶をだし畳に座ると八乙女はお茶を飲んだ。八乙女の目から見ると私とおばあちゃんは瓜二つに見えたらしい。
「名乗り遅れたけど私は久遠 乃々華。私は美晴さんの親戚なの。」
「私にまだ親戚がいたなんて……!!」
「そ、そうなのか!?すまない。さっきは……」
「いえ。」
本当はおばあちゃんの孫なんだよ……って正直なところ言いたい。だけどまだ出会ったばかりだし。
八乙女が口を開き
「にしても本当にそっくりでびっくりしたよ……!」
「そんなにそっくりですか?」
とおばあちゃんは大きい瞳で八乙女を見る。すると八乙女は顔を真っ赤にして
「に、似てる……!」
と言った。これは完全な脈アリそう思った。でもこれがどうしたらおじいちゃんと結婚して私が生まれるのか不思議でしょうがない。
「美晴。もうそろそろ俺の婚約を受け入れてくれ。」
私はそこでピンときた。つまり……
「それって美晴さんに婚約を申し込んだけど美晴さんはその答えを出していない、そういうこと?」
と言うと八乙女は図星をつかれたのか苦い顔をして
「そうだ……。なぁ美晴考えてくれ、アイツより俺のほうがいいだろう?俺だったらお前を裕福にしてやるし、一生甘やかしてやる。」
と八乙女はスラスラと砂糖菓子、いや少女漫画のセリフのようなことを言っている。私は呆れてため息をついた。しかしよく考えるとアイツというとおばあちゃんには八乙女と別に好きな人がいるということを説明している。私は気になって
「ねぇ!美晴さんの好きな人って誰?」
と私が聞くとおばあちゃんは俯きこう答えた。
「その人の名前はね久遠 大貴っていうの。」
「あの人は兵隊で……」
「あの人は私の運命の人なの」
おばあちゃんの微笑みは少し寂しそうだった。
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