第2話

私が唯一心を開いている人それは

「ただいま~おばあちゃん!聞いてよ~前回受けた世界遺産検定1級とったよ~」

「あらお帰り、すごいわね乃々華!今日は乃々華の好きなどら焼き買ってきてるわよ~」

「本当!?うれしい!」

私の祖母美晴みはるは父の母方にあたり、おばあちゃんならではの可愛さと癒しを兼ね備えている。そしておばあちゃんは私の好みや嫌いなもの、いい思い出、悪い思い出も知っている。

ちなみにおじいちゃんはおばあちゃんが戦争時代のときに亡くなったらしいんだけどよくおじいちゃんの惚気けを聞く。

大貴だいきさんはねぇ、本当にかっこいい人だったわ〜!」

「大貴さんは不器用なんだけど、私が泣いていてる時は誰よりもはやく駆けつけてくれたの。」

そう言っていた。大貴だいきは私のおじいちゃんにあたり、おばあちゃんの旦那だ。おじいちゃんは戦争で亡くなったそうだ。ちなみにおばあちゃんはお見合いをさせられそうになったらしいが、おじいちゃんがおばあちゃんのお見合い場に突入しておばあちゃんの両親に結婚させて欲しいと直談判したらしい。2人は大恋愛をして結ばれたって言っていた。その時代じゃ、お見合いが普通だから大恋愛で結ばれたのが珍しいと私は思った。私はこたつに入りおばあちゃんが淹れてくれた玄米茶を飲みどら焼きを頬張った。

「美味しい〜!!やっぱり華月堂のどらやき最高だよ!」

「あら、乃々華。乃々華がそう言ってくれると華月堂のおじさんも喜ぶわ〜」

本当におばあちゃんに会う度癒される。おばあちゃんは私に優しさと厳しさを注いでくれた人。私はこの人のためならなんでもできるそう思う。それとおばあちゃんは女でありながら着物屋を立ち上げていて質はいいし、おばあちゃんは手先も器用で染めも上手で売上はものすごく高い。なのに家は豪華なものではなくどこにでもありそうな和装の一軒家。だけどこの畳や障子が落ち着くと私は思う。私はこたつでどら焼きを食べながら勉強を始める。おばあちゃんは編み物や刺繍を始める。それぞれなにも喋らないがこの空間が落ち着くし、喋っても色々な話題で盛り上がってあっという間に日が暮れることも。

シャシャと私がシャーペンを動かす音が部屋に響く。













あっという間に夕方になり私はこたつでゴロンとして

「今日もおばあちゃんのご飯食べたーい」

「こらこら。今日は飛鳥さんがご飯作ってくれるでしょ?」

「だけどさ〜」

「わがまま言わないの。ほら家まで送るから。」

「ちぇ〜。はーい。」

私は玄関に向かい靴を履く。おばあちゃんは少し大きいサンダルを履き一緒に外に出る。

季節は冬だ。寒くて乾燥した風が私とおばあちゃんの首元を通る。










青信号になり2人で信号を渡ろうとするとキキー!っと車がこちらに突っ込んできておばあちゃんは気づいていなくて私はおばあちゃんを抱きしめ背中に回しおばあちゃんを守る。









ドン!っと鈍い音が鳴り私とおばあちゃんは宙に舞う。







おばあちゃんを抱きしめた手が宙に舞ったことにより離れてしまい私は必死に手を掴もうとした。









気づいたときには頭から血が流れ背中も折れているので痛くて喋ることもままならない。








「お……おばあ……ちゃ……ん」









おばあちゃんは頭から打ち意識がない。私は必死に手を伸ばすがおばあちゃんに届かない。












「おい!乃々華!しっかりしろ!!絶対死ぬなよ!」

誰か分からないが私を見つけ必死に私の名前を呼んでいて手を握る人がいた。






私はその人の温かさを知り涙を1粒流し、目を閉じた。











その人からは花のいい匂いがした。

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