第14話 薄氷のステージ4
「う~む、全然面白くも何ともない……」
「ひええっ!」
青騎士ルンバ・ラルの吐き捨てるような呟きに、冷や汗をかいたカヤタニは焦る焦る。
「同感だ。クスリともしませんな。
団長の失望感を強調するような冷めた台詞は、場の空気をエアコンの強設定並みに寒くする。
すかさずカヤタニが形勢逆転を狙うのか、
「つ、次ぃ! フォーメーション3いくで! このネタならば、異世界でも大丈夫なはず。……さあ皆さん、爆笑の渦に包まれましょう! コント、高齢化社会!」
カヤタニはダケヤマの背を引っぱたいて腰を曲げさせる。始まりは、彼のパートだ。
「……ワシらお笑い芸人にも、ついに高齢化の波が押し寄せてきたのう、カヤタニ婆さんや」
「そうさのう、ウチらもコンビを組んでもう50周年ですじゃ。ダケヤマ爺さんや」
「もう、そんなに! 時が経つのも早いものじゃ〜。そう言えば、総入れ歯」
「ところで~、あんた。さっきから一人でプルプルしながら、何をやっとるんじゃ?」
「おお、やる事もなくて暇なんでな、右の鼻の穴にある鼻クソを左側に移しとるんじゃ」
「きったね! 何を考えとるんじゃ、このボケ老人が! ドカッ!」
「ひええ~! 入れ歯が飛び出した! どこ行った~? 歯無しでは、話ができぬ~!」
「ふぐうっ……!」
笑い上戸のダイナゴンは、もう限界までこらえて涙目になり肩を震わせている。
なのに団長の
「駄目だ、本当につまらない。全く時間の無駄だ。観る価値もない」
ルンバ・ラルも腕を組んで渋い顔をした。
「この程度じゃ笑えない。我が国の道化師の方が、まだマシだ!」
騎士達の忖度なき言葉にダケヤマは、芸人のプライドがいたく傷つけられたのか、表情が一変した。
「い、いかん、ダケヤマ。堪えろ、キレたらアカン! キレたら……、もう私ら終わりやで」
カヤタニのヒヤヒヤ感丸出しの説得に、ダケヤマはニヤリと返した。
「お笑い芸人スカンピンの本領発揮は、こんなモンやないで。せやけど、真面目な正攻法のしゃべくりが全く通じひんのやったら、もう奥の手を出すしかないわ。俺をここまで追い詰めたのを、後悔させたる!」
「まっ、まさかお前! 変な事、考えとらへんやろな?! よせ! やめんか! マジでシャレにならへんで、ホンマに~!」
「う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお~ッ!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます