第2話 実験開始
「よし、全班準備できたな。それじゃあ、配ったプリントに実験結果を記録していってください。どの液体からやるかは自由にしてくださいね。実験開始!」
今日の実験は、三人で行う。
本来は、八人掛けの大きな長机の真ん中に、席を半分に分けるようにして水道水が出る
「どれからする?」
実験の準備を終え、向かいの席からそう話しかけてきたのは、
物静かな性格の女の子だった。小学校からの付き合いだが、彼女のおとなしい性格や異性ということもあって、そこまで交友が深いわけではない。真面目で勉強ができる印象だ。
「適当にやってこうや。じゃあ、最初はジョウリュウスイ?からやろう」
そういって、右手に細いガラス棒(※後述)を持ち、実験を始めようとしているのは、
少しお調子者の男の子である。彼も小学校から同じなため、普通に話はするという程度の仲だが、機会が無いと積極的に関わったりはしないタイプである。
小学校の時、彼はいじめっ子ではなかったものの、いじめっ子たちとの交流が多かった印象があったことも、深く関わってこなかった理由なのかもしれない。
「そうだね。まあ、順番にやっていくか」
そういって僕も実験に協力するのだった。
机の上には、試験管立てに立てられ、実験で使う四種類の液体が少量入った試験管四本と、リトマス紙が赤青四枚ずつに、小皿が一枚、液体をリトマス紙につけるための細いガラス棒は四本、指で触って、万が一リトマス紙の色が変化してしまうことがないように、リトマス紙をつまむ用のピンセット、液体がこぼれてしまったときのための
実験自体は単純なもので、試験管の中の液体を細いガラス棒の先につけ、それをちょんとリトマス紙につけるだけである。
小皿は、液体が机の上に垂れないようにリトマス紙の下に敷いておくためのものだ。
そうしてさっそく、
「えーっと、蒸留水は赤色リトマス紙には反応しないっと」
配られたプリントの左側、空白が一つ埋まった。
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