キリンが怖かった
子供のころ、擬人化した動物キャラが怖かった。
まだ元の動物の特徴が残っているならばともかく、顔だけ挿げ替えたようなキャラは違和感だらけで、見てはいけないものを見ているような気がした。
特に、キリンのキャラが怖かった。本当ならば、何メートルも首があるのだ。それをぐっと縮められて、手足も縮められて。
ライオンもクマもサメも、本物は怖いことをみんな知っている。私は、キリンも本物はもっと怖いのではないかと思った。実際脚力はすごいし、首をぶつけて争うこともあるらしい。それなのにみんな、かわいいキリンさん、と言っている。本当はあいつもすごい怖いかもしれないぞ、と思っているうちに、一番怖い動物になってしまった。
初めて見た本物のキリンは、思い込みもあったせいか、やっぱり怖かった。ライオンやクマは頑丈な檻に入っているが、キリンはそうでもないように見えた。逃げ出したら、みんな勘違いしている分キリンの方が大変なことになるんじゃないか。キリンの方が大きいし、首も長いから、麻酔銃がなかなか効かないかもしれない。その間に蹴られでもしたらひとたまりもない。
大人になったら、特別キリンが怖いということはなくなった。しかし動物園で間近に見ると、でかくて余裕があって、やっぱり怖い。
幸いにも、キリンはこちらから会いに行かなければ遭遇することはない。それほどキリンのキャラもいない。しかし「キリンが怖い子供がいるかもしれない」と、覚えておいてもらえると嬉しい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます