ウチの妻は熊なんだかクソの話を良くするクマのツマだ

クマとシオマネキ

妻のクマと、イレーロとミソスープ。 そして茶色い生首

 私の妻はクマだ。 よく自分のクソの話をする嬉しそうにするクマの妻だ。

 なお、このクマ、人のクソの話は嫌う。


 妻は本来の流行とはズレた、どこで流行っているのか分からない謎の流行に乗る。

 多分、私の知らない、遠くの森の中での流行なんだろう。

 今日もどこで知ったのか良く分からない、 流行を乗ろうとしている。


「イレーロをしたいから車を出して欲しい。 大量の黒土と大きめの衣装ケースを買う」


大量の黒土と大きめの衣装ケース?糞でもするつもりか?

 それとも、とうとう人里に降りて殺人でもするのだろうか?


「何をするんだい? イレーロとは何だい?」


妻のクマ曰く、イレーロとは長方形の衣装ケースに黒土を入れ、穴を掘って生ごみを入れる。

 上から土をかけ、3日程放置する。

 すると生ごみが数日後、 白いカスになってこの世から消える。


 以上である。生ごみを人間に置き換えるとスプラッターだ。


 妻のクマは元からクマなので、あまり奇行は気にならなかったが、今回は場所の問題がある。

 うちはマンションだ。 置くとしたらベランダか?場所、虫、 異臭、一歩間違えたら大事だ。

 そしてゴミ管理について考える。


「それはウチでやる必要はあるのか?」

「ある。 なぜいつも否定から入るのか?この豚野郎」


 私は今、豚野郎と呼ばれたが、特に不満はない。  

 太っているからだ。 ただいつも否定から入ると言われると「なるほど」と…またやってしまったかと言わざる得ない。


 以前、妻のクマに言われた。


「またクマが何か言ってら(笑)とか思っているな?いつも自分が正しいと他人に上から目線。 それが差別であり、色眼鏡であり、貴様の底が浅い証」

 なるほど、金言だと思った。

 大人にならなければいけないなと思った。

 大人とは否定から入らず、物事をまずは試し、そして許容する、失敗を活かす。

 それが大人であり豚からイケおじ哺乳類への一歩だ。


「わかった、週末ホームセンターに買いに行こう」


 そして楽しいお休み、週末が来た。

 ホームセンターの犬コーナーで妻と子供 (オス2匹) 家族4人で騒ぐ。

 途中、スマホのMNPで最新iPhoneが0円とあり、転売ヤー根性が燃えその場で妻にMNPさせようとしたら、


「気が狂ってんのか?家族と楽しい買い物来て転売ヤー根性を晒しだすのはクズの証、お前の問題点はそういう所、狂ってる」


  と言われ正気に戻り、狂ったような量の黒土を持って家に帰った。

 そしてウチに、イレーロが来た。 なかなかの存在感だ。


 1メートル✕30センチ、深さは50センチ程の衣装ケースに黒土、そして蓋の隙間には海で拾った木片を挟み空気を入れている。


 ベランダに凄い異物感・・・何か幻覚が見える良くない草とかキノコ、人を水分にして放棄する感じの装置があるような、ないような…


 そして数日…今日も妻のクマがイレーロに刻んだ野菜や、細かく刻んだ食べ残しお惣菜を入れる。


 長方形のケースに1~6まで番号を振り分けて順番に入れていく。


 ちなみに妻のクマは、様々な流行を同時に追っている事が多い。流行に敏感だ。

 もう一つの流行・・・それは、味噌汁になら何でも入れて良いと言い張っている料理研究家の先生への尊敬だ。

 実は妻のクマ、なかなかの料理上手だ。

 クマだから雑食な味付け・・・・と思うなかれ。


 野菜でダシを取り塩で味をキメる関西風な味付けの料理が得意だ。

 しかし、残念ながら子供が野菜を否定した。


 ちなみに私も料理をする、和食ではなく唐辛子の効いたイタリア料理が好きで自分でも作る。

 しかし子供はそれも固定した。こいつらこそ否定から始まる、だから否定から始まるのは子供のだと思った。


 仕方なく、子供の専門家がよく宣う、野菜をハンバーグ系の混ぜ物に混入して食わせた。

 しかしそもそもハンバークやつくね等の練り物が好きじゃないとか言い出す。


 馬鹿らしいぜ、そして思い出せ…昭和や平成初期、食いたくないなら食うな。そして餓死して死ねみたいな空気だった。

 言い過ぎたが、それでもその場で食うまで拘束は良くされたな…

 学校なんて食うまで昼休みは無いという拷問だったし、 嫌いなものやパンを机の中に突っ込む、しかも汁物を机の中のケースに逃がす強者もいたな…


 ちなみに私は、限界まで水分を抜いて、ほぼ粉化したバッサパサのレバーが嫌いだった。

 好きなやついるのかアレ?


 大人になってレバーのシチューや、旨い生レバー食ったら、あの粉レバー考えた奴は気が狂ってるか、 粉化するのが好きなシャ○中かと思った。


 大人になって「アレが好きだった」という奇人がいて尊敬に値した。違う、話が脱線した。


 とにかく子供の否定により壊れた妻のクマは、その味噌汁になんでもぶち込む料理研究家を宗教の如く崇拝している。

 なので謎の味噌汁を作る・・・ ダシを入れるなぁ!ウインナー!?冷蔵にあるものは何でもぶちこめぇい!


 まるで戦国武将のように、殺しの間に入っていく雑兵のように味噌汁にぶち込まれる生ハムやトマト、きゅうり・・・ しゅごい映像。

 ただ何でもぶち込むから、ロシアンルーレット的な感じで、たまに鬼のように不味くなる時がある。

 あの先生が余計な事言わなければ美味な味噌汁を作れるクマなのに…どうすんだ。この味噌汁。


そんな時?何をする?


『イレーロだッ!』


 更にイレーロ…油も分解するらしい…から揚げ ?とんかつ?油の処理はめんどい… 一度、妻のクマに黙って排水溝に流したら固まって水が逆流した。

 ダメ、絶対。


そんな時?何をする?


 「イレーロだッ!」


 イレーロのある丁寧な生活が続く毎日が始まった。


 しかし…だんだん入れるペースが遅くなってきた。

 先日は普通に生ごみを燃えるゴミの日に捨てた。   

 正直邪魔だし確認するのも考えるのもめんどくせぇからイレーロ片付けろ、と言うと 「ガァッ!」とキレるのは目に見えてる。というか、一度言った。  

 流石に同棲、結婚と一緒にいて、何十年と同じ事繰り返してれば学習する。

 私は優しく繰り返し言った。


「飽きたのかい?」「は? 生ごみが無いだけ」


「飽きたのかい?」「は?水分が少なくて分解が遅くなっただけ」


「飽きたのかい?」

「は?分解のペースが遅いだけ。 ちょっと、しつこいな! 何がそんなに気に入らない? またアンタは・・」


 そこから説教の時間の始まりだ。


「アンタは言い方を変えるだけで何でも否定するし私のせいにする。 しかもッ!しっこい!そんな生き方だからいつまでもまともな生活に・・」


 と説教が続く。失敗した、もちろん妻のクマの言う事はもっともな話だ。


 否定からは入り相手納得するまで(論破)しつこく言うのは私の悪い癖である。


 もともとすぐマウント取ろうとする性格な上に、逆ギレだらけの生活だ。

 今まさに妻の説教の途中でちょっとウンコと言って去る私はまさにクズ。


 それから妻のクマがイレーロを使う姿を見ていた、とても綺麗なベガ立ちで。

 ベガというのは有名格闘ゲームのラスボス風おっさんだ。

 そんな私に、妻は私が参加したいと勘違いしているようだが、 嬉しそうだ。嬉しそうで良かった。


 突然だが私は妻を愛している。


 突然の自分語りで申し訳ないが、私は昔アダルト業界にいた。

 浮気しようがNTRされようがお互い好きでめんどくせぇ事にならなければどうでも良い精神であり、 自身も浮気する暇があるならエロゲしたいし、浮気する気も起きなければ、今やそもそも相手にされない、砂漠の様な状況と貞操観念と外見の持ち主だ。


 そんな私が、恋愛し好きだから結婚した。

 だから、妻のクマが嬉しそうにしているのは私も嬉しい。まさに砂漠のような私にとって妻のクマはオアシスである。

 いや、オアシスに住んでいるといえる。

 まぁ世間はオアシスじゃなくて街に出て働けと言うが。

 余談だが、ネットのセカンドパートナーの記事を見た時は 『変態集団の様でどうかしている』と思うぐらいの貞操観念である。

 後、女性のアソコに匂いに対して男性が「何か便所の匂いがする」という広告があるが、普通はそんなこと言わない。


 とにかく、嬉しそうな妻は「やってみなよ」 「楽しいから」と上機嫌に言うので少し参加した。


 すると後ろから、やれ「穴が浅い」やれ「乾いた土を活かせ」だのうるさいから「うるせぇな、お前がやれ」と、逆ギレ。


 それからはゲーセン用語でいう所の、得意のベガ立ち勢(顎の割れ方もベガに似てきた)に徹した。 家でも仕事でも遊びでも、どんな時でもベガ立ちは最高だ。

 全部他人事、手は組んでいるのは『俺は何もしない』の証。


しかし、ある日事件が起きる。


「ぎえええええええ!! ブブー!ブブ!イレーロ!ブブー! 来て! ププー!イレーロが!」


 私が寝ていると、私のあだ名を連呼する声。

 たまにどうでも良い事で大声で名前を連呼する時があるので引き続き眠る。

 今日は仕事も休みだからゆっくり寝るか・・と思って無視していたが、思ったよりうるさいし長い。

 そして私の本名はブウであるが、妻のクマは愛情を込めてブブーと呼ぶ。


「ブブブブ!早く!ブブー!」

「とっちゃん! とっちゃん!わっせ!わっせ!」

「とーん!とーん!とーん!」


 このクソ共、黙っとれやダボが…

 いけない…私は子供が生まれてから下品で悪質な言葉遣いをやめるように決めていた。

 ちなみに妻のクマはキレると戸塚ヨッ○スクールや消費者金融の上司みたいな感じになるが、 本人はやめるように気を付けている。

 カップルの時は二人の問題なのでどうでも良いが、流石に子供にも近所にも、悪影響…良い大人だからだ。


「ねみぃ…なんだようるせーな…ブブーイレーロって、下ネタかよ、このクソ熊が『ゴンッ』

イテッ!?あぁあ…


 二人の息子達も呼び始め、もううるせぇ、うるせーなぁ朝から、休みなんだから寝かせろや。ダボが…

 心で悪態をつきながら、 布団の上を這いずりベランダに向かったが、途中でタンスに膝をぶつけてもんどりうった。

 ちなみに妻のクマは否定から入るとキレるが、私の下品な言葉遣いや態度には、外で無ければあまりキレない。

 結婚前から付き合いは20年以上、慣れているからだ。

 しかし、悪態や態度の悪さに、ついに神が怒ったのか?

 膝が破壊された。 神様も器が小さいなと思った。


「ブブー!イレーロ!見て!」


 土の上を指差し確認の様に指した。 何も無い土だ。


「ブブー!イレーロ!ちゃんと見て!」


 更に指を土に近づけて指差し確認するが何も無い土だ。ここは工事現場じゃねーんだぞ、正気か?


「ブブー!イレーロ!ほら!」


 更に指を土に近づけて指差し確認する…ムムム?何かいた。


0.002ミリぐらいの(実際は1ミリぐらい)の白いウジ虫っぽいものがうねっていた。


 妻のクマは足が0本、もしくは足が10本以上の虫が死ぬほど嫌いだ。


 今回は0本に該当するので、出現した瞬間にエスパーだったら周りの人間の頭が破裂するレベルの音声で騒いだと思われる。


 妻のクマはクモとか平気で触るし、妊娠中にお腹の上にクモが巣を作ろうとする程仲良しだった。

 また、私は小さい虫の違いが全く分からない。 だが1ミリサイズの白い虫 (蛆?) は足が無い・・・ 馬鹿なのか? 

 だから正直、この異様に小さい虫に足があろうがなかろうが関係無いと思うが・・・


 まったく意味が分からないが、白い虫を持ち上げて適当に放り投げたら、再度、殺人事件が起きた瞬間ばりにでかい声で騒ぐ妻のクマ。

 ベランダに投げるな、ベランダの外に投げろと騒ぐ妻のクマ、その後ろで4歳の息子が別の白い虫を指で『プチ』っと潜した。

 「とりあえず幼児三点攻め」 と言われる『鼻の穴』『口の中』『チンコやケツの穴』を触りまくる次男が白い虫を消した。

 幸い、妻のクマは見てなかったようだ。

 見てたら煩いだろうな、その指で妻の口に手を突っ込んだりおっぱい触るからな。

 見てなくて、良かった良かった。


 しかしイレーロ…あぁ、可哀そうなイレーロ…

 一度…いや、その後5〜6匹同じ虫が出てしまった為、妻のクマに敬遠されてしまった。


 以前、私もベランダにて家庭菜園でネギを育てようと思った事がある、 家庭菜園ブームの時だな。  

 その時は何も分からず適当にやったら一回目は生えてきたが、2回目以降は3センチ程伸びた、所でそのままネギは息絶えた。

 土から生えている茶色くなったネギの残骸、その様子は、かの名作ゲーム、 M◎THER に出てくるフライングマンの墓だ。

 ベランダで小さいプールをしたいから、このゴミ早く片付けろと騒ぐ妻のクマに、私は言った。


 「これはフライングマンの墓だ。大人も子供もおねぇ「良いから早くゴミを片付けろ」


 と、被さる様にコメントされキレられた。


 そんなどうでも良い思い出を思い出しながら、こいつも死んだか・・とか思っていると、イレーロから小さな緑の根が生えていた。

 これはまさか!?新しい生命・・・!?


 いや、ゴミしか入れてないのに生えてくるのは不味いだろう。

 虫が増えて地獄みたいになるぞ?

 その後は私も参加した…というか混ぜたりしながら蛆を処理しないとマジでこの世の終わりもみたいになるような気がしたからだ。

 家のベランダで大量の蛆からハエに進化していくとかマジ勘弁、進化するのはポロモンだけで結構ですし烏骨鶏。


 しかし…私と妻のクマの脳内ではイレーロの穴番号1から6の記載が違った様で、よく生ゴミの入っている穴が被った。

 穴間違いか…私もよく間違えたふりしてケツに…そして若き日の妻のクマが「そこ違うから」と、さっきまで盛り上がっていたのに急に冷静に言うのが怖かった。

 穴の誤認識は今も昔も変わってない。

 俺はケツ穴、そしてウンコの話をやめない妻。

 いくつになっても変わらない夫婦…か、良いね。

 コレ書いているのバレたら殺されるんだろうな。


 その後、数日…人生とか知能とか色々あるステータスの全ステータスを視力に全振りした私。

 その私が真面目に見ないで 「もう虫はいないからお前もやれ」と言うと、 何故かこういう時は全力信頼をする妻のクマも再開した。


 その直後「嘘つけ!いるじゃねーか!」と騒ぐが私には見えない。

 脳とは不思議なもので、見たくないものは見ようとしない、月末に来る謎の請求書と一緒。

 尚、送る側は謎とは思って無い。まさに贈る請求書。


 そして数日、虫に怯えながら恐る恐るイレーロと戯れる妻のクマ…しかし冬が来ると黒土が鬼乾燥して、サラサラになった土は穴が開けづらい。


「はぁ…めんどくせ」… 俺はやめた。


 妻はやっているが、俺は離れていた。ある日、妻に


「ブブー!イレーロ!また虫が出た!」

「混ぜろ!」「何?爆ぜろ?」「良いからやれ!」


 みたいな指示が飛ぶ。俺はめんどくせぇなぁと黒土を混ぜ返していると、凄い小さな人型の茶色い生首が出てきた!?


「ヒッ!?とうとう死体!?しかも妖精!?」

 …ウンコのついたレゴの生首だった。


 おパンツ一丁の犯人(4歳児) が俺の横で笑った。  その後ろ姿のケツは茶色かった。


「おおう お前それ ステーロ クセーヨ」


 子供何てメチャクチャだよ。

 しかし妻のクマは情操教育に良くないと言って 

 私の大好きな真・女◎転生のマー◎様のフュギュアのチ◎コ部分だけゴムと同じ場所に隠された。

 車輪の付いた刃物みたいなのが飛び出てる台座だけでどうしろと?


~後日談~


 生活リズムが家族と全く違うので寝床を別にした。

 家庭内別居?違う、仕事だよ普通に。

 夜は私の帰りが遅く、皆が寝ている時間。

 朝は子供と同じ時間に出発するのでリビングで睡眠だ。逆関白宣言成功です。

 私は朝が何十年経って子供ができても弱いし、普通に遅刻する。

 折り畳みマットを使って寝るが、夜中、暗い中折り畳みマットを広げた。 ちょうどベランダの横なので、月でも見るかと、 ベランダ側に寝返りをうった。


 視界いっぱいのイレーロがいた…お前、ここにいたんか?

 私は今、窓ガラスを挟みイレーロの横で寝ている。

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