「婚約者に冤罪をかけて国外追放したら国が滅んだ〜神の手のひらの上で転がされていたことに気づかない間抜けな俺」完結
まほりろ
第1話「終わりの始まり」
俺は自分で考えて行動したと思っていた。
だけど本当は神の手のひらの上で転がされていただけで……。
俺がそのことに気づいた時には、もう人の手ではどうしようもないところまできていたんだ。
☆☆☆☆☆
城の大広間には大勢の貴族が集まっていた。
今日は新たな聖女のお披露目式。
我が国は三百年前より竜神ルーペアトの加護を受けている。
竜神は時おり未婚の女に特別な力を授ける。
それがどんな病や怪我も治せる光魔法。
現聖女エルマは今から八年前、十歳の時に光魔法を授かり聖女となった。
エルマが聖女となった数カ月後彼女は王太子である俺の婚約者になった。
エルマは茶髪に緑の瞳の平凡な容姿しかも平民の孤児。
いくら歴代の聖女が王太子の婚約者になるのが決まりとはいえ、俺には平民の孤児が婚約者になったという事実が受け入れられなかった。
それに俺には好きな人がいた、幼なじみで伯爵家の令嬢アイリー。俺は彼女のことがずっと好きだったんだ。
アイリーは黄金色の髪に天色の瞳の美少女。眉目秀麗な俺の隣を歩くのにふさわしい女性だ。
王族や貴族が政略結婚をすることはわかっている。
わかっていたけどそれでも聖女とはいえ平民の孤児が婚約者なんて嫌だったし、どうしても初恋の美少女と平民のブスを比べてしまう。
だから俺はエルマをずっと邪険に扱ってきた。
王太子の仕事や俺の学園の宿題を代わりにやらせたり、誕生日にプレゼントを贈らなかったり、パーティでエスコートしなかったり、他にも色々嫌がらせをした。
婚約者に使うための費用をアイリーへの贈り物を買うために遣った。
アイリーも俺のことが好きだったようで、俺の贈ったアクセサリーやドレスを喜んで受け取ってくれた。
アイリーと隠れて逢瀬を交わすたび、光魔法を授かったのがエルマではなくアイリーだったら良かったのに……と思ってしまう。
そんな俺の祈りが届いたのか先日エルマは光魔法を無くした。
そして同じ日にアイリーが光魔法を授かったのだ。
俺は神に感謝した。
すぐに会議が行われた。俺はエルマから聖女の地位を剥奪しアイリーを新たな聖女に任命するように提案した。
父も議会もそのことに反対しなかった。
教会だけはなぜかごねていたが光魔法を失ったエルマを聖女にしておく理由がない。教会の意見は却下された。
それと聖女でなくなったエルマはただの平民。俺の婚約者にしておく必要はない。
新たな婚約者にアイリーを据えることを提案し、許可された。
あとはどういう形で発表するかだ。
エルマの名誉を傷つけアイリーの名を高める方法がいい。
☆
もしよければ★から評価してもらえると嬉しいです!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます