第3話 スキル鑑定

「驚くのも無理はありませんね。ですが、これは本当の話です。だけど天使といっても万能ではありません。力を使いすぎると消滅してしまうんです。そのため、定期的に補充する必要があるんです」

「そうなんだ。ちなみに僕はこの世界では寿命はどのくらいなんだい?」

「普通の人間と同じですよ。こちらの世界に来た時点で、人間は不老不死の力は失われています。ただし、肉体強度は飛躍的に向上していますけどね。ちょっと試してみますか?」

「いいのかい?」

「ええ。では、あそこにある岩を殴ってみて下さい」

久留洲は言われるままに拳を振り上げた。

そして全力で振り下ろす。

ズドーンッ!! 轟音が響き渡った。

地面が大きく陥没している。

「うわっ!!」

久留洲は驚いて後ずさった。

「ふむ、さすがです」

「さすがですって……」

「異世界から召喚された人間は特殊なスキルを身に付けているんです。あなたのスキルを鑑定して見ましょう」

そう言うと、フィリアは久留洲に手をかざした。

すると久留洲の中に何かが流れ込んでくる感覚があった。

やがてそれが終わる。

「はい、終わりました。どうやらあなたは【神速】というスキルを手に入れたようですね。効果は名前通りで素早く動けるというものみたいです」

「へぇー。なんか地味だなぁ」

久留洲は不満げに呟いた。

「いえ、とんでもない。使い方によっては強力な能力になりますよ。たとえば戦闘において先手を取ることができるというのは大きなアドバンテージです。それに動きが速くなれば攻撃を当てる機会も増えて勝率が上がるはずです」

「なるほど。そういう考え方もあるのか」

久留洲は納得する。

確かに相手の攻撃を回避できれば、それだけで有利になれるだろう。

「それじゃあ、そろそろ案内しますね。まずは私の家に行きましょうか」

「フィリアの家?」

「はい。私の家は王都にあるんですよ。そこで話をしましょう」

フィリアは先頭に立って歩き出した。

天使とは言え、女の子の家に行くのは久留洲にとってドキドキものだった。

街は活況を呈していた。

大勢の人々が行き交っている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る