新春特別企画~現パロ編
第51話 幼馴染みと初詣に行ったらおみくじには恋愛運・大きく進展とありました~
冬休み特別企画として現パロ書いたとです。本編でいつくっつくか分からんけん、ちくと甘いものば書きたくなって。
転生前の忠子ではなかとです。
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某年12月31日。
ごく普通の高校一年生、
「あけましておめでとうございます、今年も頑張ってください……送信っと」
一介のリスナーのメッセージは濁流のようなコメントに呑まれ一瞬で流れていく。
イケボによる新年の挨拶を聞きながら、スマホを手に取る。
LINEを立ち上げて、
(あけましておめでとうはいいとして……今年の初詣はどうするんだろう?)
須藤理知とは同い年で家がお向かいの幼馴染みだ。
小学生のうちは両家族揃って近くの神社へと初詣に行っていた。
高学年になると理知の年の離れた兄が連れて行ってくれて、中学校に上がってからは二人で行くのを許された。
今年からは?
高校も同じところへ進み、物凄い偶然で同じクラスにもなってしまったが、誘ってもいいものだろうか。
理知は中学から長身を生かしてバレー部に入っており、新人戦でも活躍していた。
(初詣と言えば必勝祈願だよね。部活で行ったりするのかな)
悩んだ挙句あけましておめでとうスタンプを送るだけにしておき、ベッドに入ったところでスマホが小さく鳴動した。理知だ。
『明日何時に来るの?』
年賀スタンプに添えられた文字を見ると、どうやら去年までと同様一緒に初詣に行ってくれるらしい。
「えーと……『お昼食べたら行くから、13時ぐらいでいい? 行く前にLINEするよ』……っと」
アプリを開いたままだったのか、すぐに既読がついてOKのスタンプが返ってきた。
* * *
元旦は雲一つない晴天に恵まれた。
「理知、あけましておめでとう。今年もよろしくね」
「あけましておめでとう。……着物じゃないんだ」
「さすがに人混みの中を草履で坂道と石段上る根性はないよ。ただでさえ理知についてくの大変なのに」
「すみませんね、足が長くて」
高校に入って180センチを超えた理知に対して忠子は154センチと小柄だ。
基本的に合わせて歩いてはくれるが、時々考え事などしてるときは小走りにならないとついていけない。
今日の理知はその長い脚をスキニーデニムに包み、高校合格のお祝いにお兄さんから贈られたカシミヤ混の黒いコートを着ている。
シンプルなスタイルだからこそプロポーションが際立ってモデルのようだ。襟元を埋めている手編みのマフラーが場違い感満載だが。
人気アニメの神回がきっかけで手編みが流行ったときに忠子が作ったものである。
劇中のものを忠実に丁寧に再現するためにハンクラ動画を見まくったり百均のものではあるが道具を揃えたりと自分なりに気合いを入れたし、元々器用だから界隈内でプチバズる程度の出来にはなった。
タンスで眠らせておく気だったのだが、編み終わってからの理知の追及がかなり執拗だったのだ。
「この前まで熱心にやってた編み物どうしたの」
「しまっとくだけなら僕にちょうだい」
「かかった分の材料費は出す」
何が琴線に触れたのかは分からないが、物欲の薄い理知が物を欲しがるのは珍しい。
普段は漂白したように淡白なのに一度執着したらしつこい理知と、諸々の理由で抵抗する忠子の攻防が繰り広げられたが、ケーブル編みのマフラーは最終的に理知の手に渡った。
そして気に入ったものはとことん愛用する性質だから、通学部活外出といつでも使ってもらっている。
(嬉しいけど……うう……私、あのマフラーみたいだ……)
時々振り返る人もいるぐらい人目を惹く理知に引き替え、自分の野暮ったいことよと嘆かずにはいられない。
身長は低いしそばかすだらけの童顔丸顔で美人とは言い難い。好きな漫画とのコラボの赤いセルフレーム眼鏡もそれだけ見ればお洒落なのに、自分が着けると何となくあか抜けない。
Fカップの胸を羨ましがられることはままあるものの、冬場は特に着ぶくれして決して太ってはいないのにデブデブに見えてしまう。
一目惚れした白いコートをウキウキと試着してみて、雪ダルマに見えてしまったときの敗北感は記憶に新しい。
不似合いな二人連れ。傍からどう見えているか考えると肩身が狭い。
美男美女、フツメンと綺麗な女の子なら絵になるけれど、イケメンとモサ女子は特に同性の意地悪な視線や嫉妬やっかみ嘲笑の的だ。
* * *
初詣先の人出はそれほどでもない。
巨大な観音像がちょっと有名だがパワースポットとして取り上げられることもないし、JRで二駅先は鎌倉だから観光客はそちらに流れ、近所で済ませる人がのんびりお詣りするところだ。
参拝を済ませて毎年恒例になっているおみくじを引き、人混みから離れると理知は口を開いた。
「何お願いしたの?」
「うん? えーとね、今年こそ紫式部ミュージアムの女房体験会に当選しますようにって!」
「十二単着て牛車に乗れるんだっけ? 前から一度聞こうと思ってたんだけどさ、平安時代どうしてそんなに好きなわけ?」
「だってロマンじゃない? 着物の色に季節やら意味やら込めたり、
「ごめん、皆目分からない」
ヲタク特有の目を輝かせての早口になってしまったが、理知にはさらりと流されてしまった。
本当になぜこんなに惹かれるのかは分からないが、好きなものは好きだからしょうがない。
「古典の資料集に載ってるよ」
「あれをきっちり読んでる人はあんまりいない。普通は授業中に指定されたページを見るぐらいデショ」
「私だって平安部分しか読んでないよ……それより、そう言う理知は何お願いしたの?」
「教えない」
「えー、ずるい!」
「願い事って人に言うと叶わないって言うじゃない。そういう
(本当は、理知とずっと一緒にいられますようにってお願いしたんだけど……)
神様だって困りそうなふわっとしたお願いだが、忠子自身理知とどうなりたいのかとか分かっていないのだから仕方がない。
子供の頃からずっと一緒だった。
確かに昔から意地悪で捻くれてはいたけれど、小学校に上がってから出くわしたいじめっ子のように女の子の尊厳を深く傷つけて平気で嗤っているような底辺ではなかった。
幼い頃から利発で、言っていいことと悪いことの区別がついていたのだと思っている。
ずっと幼馴染みという立ち位置でありたいとは思うが、大人になった幼馴染みはどういうものか想像がつかない。
というわけで神様に丸投げしてみたのだ。
(彼女になんかなれるわけないし……)
『キモオタのくせに須藤君べったりとか目障り』
『須藤君ならもっと可愛い子いくらでも選べるって分かれ』
『消えろ』
『呼び捨てとかマウント取ってるつもり?』
『デブス』
『いい気になってて不快』
『イケメン死んでも逃がさない感が必死すぎてむり』
『ウザ』
『身の程弁えろよ』
自分だけ外したLINE部屋で言いたい放題の陰口を言われているのを知ってしまったし、それは忠子自身が一番思っていることだ。
(私なんか理知には似合わないの分かってるけど……)
理知の側は居心地がいい。一緒にヲタク趣味に走ってくれるわけではないが、好きなものを好きと言うことをちょうどいい具合に放置してくれている。
付き合いが長いからか行動パターンも考え方も大体把握されているし、時には親より気持ちを分かってくれることもある。そんな理知に何度も救われた。
(私もそうだといいな)
彼女ではなくても、困ったときにちょっと愚痴を吐いたりどうにもならないことを話したりするだけの、ゴミ箱のような存在感で側にいることならできるのではないかと思っている。
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あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします!
後編は明日投稿、一日休んで四日から通常投稿を予定ばしとります。
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