第46話 約束

 大翔(ひろと)はポールとステラに言った。

「明日、夜明けの二時間前に、宿に来てほしい」

「夜明けの二時間前?」

 ポールが驚いた顔で大翔に確認する。


「うん。パンを焼いたり、ご飯を炊いたりはしておくから」

「え? じゃあお前たちは何時に起きるんだよ?」

 ポールは俺たちの顔をまじまじと見た。


「日が変わって二時間くらいしたら、かな?」

 大翔が問いかけるように俺を見る。

「ああ。いつもそれくらいには起きて朝の仕込みを始めているな」

 俺の言葉を聞き、ポールとステラは目を丸くした。


「だから、うちのお店は夜が早いんだよ。夜七時には閉めちゃうから」

「ふうん……そうか」

「美味しい食事を提供し続けるために、あんまり無理はしたくないからな」

 俺は大翔の肩に手を置き、ポールとステラに言った。

 大翔も頷いている。


「朝、はやいけど来られるかな?」

 大翔は少しかがんで、ポールとステラに目線を合わせた。

「俺は大丈夫だけど……ステラは……」

「あたしも大丈夫!」


 大翔はポールたちの返事を聞いて笑顔になった。

「それじゃあ、明日からよろしくね」

「分かった」


 ポールとステラは家に帰って行った。

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