第32話 早朝
俺が目を覚ましたのは、まだ外が薄暗い時間だった。
トイレに行こうとベッドから離れる。窓から外の様子をうかがうと、なんだか人の声が聞こえてくる。トイレを出た後、部屋から出て外の様子をうかがっていると、ミナが俺を見つけて声をかけてきた。
「おはようございます! もう少ししたら、地引網漁をやるんですけど、参加されますか?」
「え?」
「昨日、説明忘れちゃって……ごめんなさい! うちのホテル、朝は地引網漁でとれた魚を調理して食事に出すんです。地引網漁はいろんな魚がとれるから、面白いですよ」
「そうなんですか。それなら、大翔と相談してみます」
「はい! 漁に行く人は三十分後にホテルの入り口に集まることになっていますから、よかったら来てください!」
俺は早起きしてよかった、と思いながら部屋に戻った。
「大翔、起きられるか?」
「……んん……おはよう、健。あれ? 僕寝過ごしちゃった?」
「いや、そういうわけじゃないだけど、これから地引網漁というのがあるらしい。行ってみるか?」
「……なんか楽しそう、行ってみようかな」
「よし。なら、準備をしよう」
「うん」
俺たちは着替えを済ませ、顔を洗うとホテルの入り口に向かった。
ホテルの入り口に集まっていたのは、ミナとレイモンド、あとは俺たち以外の客が2、3人だけだった。
「それでは、出発します。浜辺まで行きますから、私の後についてきてください」
レイモンドの声に、客が従った。ミナはにこにこと笑って、手を振っている。
「あれ? ミナさんはいかないんですか?」
大翔がミナに尋ねると、ミナは笑って答えた。
「ホテルの従業員がみんないなくなったらまずいですから。私はお留守番です」
「そっか。それじゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
俺たちは列の最後について歩いて浜辺に向かった。
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