第10話
「そういえば、休憩中に庭園を散策していたのですが、美味しそうな苺やベリーなどもなっていました。庭師に聞いたら取っていいと言われたので、ジャムを作ろうと思っていたんです」
「苺とベリーのジャムですか!」
カルロスの言葉に、オリヴィアは目を輝かせた。
「ジャムは鍋で煮るだけなので簡単ですし、スイーツに添えるようと思いまして。それにパンやスコーンに付けたり、紅茶に入れたり出来るので保存用も作っておこうかと」
「いいですねいいですねっ!ところでそれはもう収穫したのですか?」
「いえ、まだですが」
「では採ってきます!」
「え、お嬢様にそのような事を…」
「お願いします!!王子妃教育やら聖女のお勤めやらで忙しかった日常が一転、ニート生活真っ只中なのです!
そう、私とても…いえ、かなり暇なんです!暇なニートなんです!私を助けると思って!何とか!」
「ニートって……」
「今までやってみたかった事をこの際やりたくって、またいつ王宮へ呼び出されるか分かりませんし、束の間の引きこもりニート生活を満喫したいのです!」
ニートだから暇だと言ったり、ニートを満喫したいと言ったり、どっちなんだと思うが、カルロスはツッコまないでいた。
「…わ、分かりました」
結果カルロスは負けた。
「ありがとう、カルロス!他にも何かあったら言って下さい」
「え………!?……別に何もありません」
「今変な間がありました!言って下さい!目も泳いでいますよねぇ!?」
「あ、いや……飾り用にハーブ園でミントも採ってこようと思いまして……」
「ではそれも採ってきます!」
終始オリヴィアの熱意に押され気味のカルロスを、ローズは少し不憫に思いながら眺めていた。
そして、カルロスからバスケットを受け取るとオリヴィアとローズは、イチゴとブルーベリーとミントの収穫に向かった。
◇◇◇◇◇◇◇
採ってきたイチゴを鍋に入れて煮立たせ、弱火で加熱。水分が出てきたら少しだけ火を強めて更に加熱し、砂糖とレモン汁を加える。
その後はアクを取ったりして見守りながら、ジャムの完成を待った。
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