第一話 闇を知る番人

1.橋の下、闇の上で蒼く光る

「よくやった、ヴェート。 」

「光栄です。 」


先程、犯人の男を捕まえ、先輩に褒められた。

中々褒めない先輩だからこそ、少し心が浮き立つ。


「犯人はこっちで受け持つ。今日はゆっくり休め。」

「では、お言葉に甘えて。」

先輩と別れ、ロンドンの街を歩く。


少し歩けば、街灯の光の届かない暗いところまで来た。

「ロンドンでも、こんな暗いとこあんだな…。」


橋の下を進んでいくと、何かが見えた。

「うっ…ぐ…」

男の呻き声と、奥には、一人。

救急車を呼ぶわけでもなく、ただ突っ立っている。なにしてんだろ。

話しかけようとすると、手に持っていたものに気が付いた。

暗がりでよく分からないが、棒状のものに何かが滴っている。

刑事である俺は、嫌な予感がした。


ゆっくり後ずさると、パキッと枝を踏んでしまう。

(ヤバ…!)

怖々と目線を上げると、 闇の中に、蒼い二つの光が見えた。

その光が細くなる。静かな橋の下で、低い声が響いた。


「ははっ、見つかった。」

背筋が、ゾクッとする。

逃げなきゃ…!本能がそう叫んでいる。

俺はくるりと踵を返し走り出した。

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