プロローグ
暗い…そう思ったのはいつからだろう。
俺はさっきまで部屋にいたはず。そういえば明後日はテストだ。350点は取りたい。
寝ているのか?夢にしてはやけに意識が鮮明だ。
あれ?
ここはどこだ?
痛い・・・頭が締め付けられる。
オギャー!オギャー!
この声が自分のものだと理解するのにかなり時間がかかった。
「元気な男の子ですよ!」
助産師さんらしき人が私を抱きかかえて言った。
その瞬間、俺の頭の中に膨大な記憶が流れ込んできた。
いや、思い出したと言うべきか?
俺が前世で死んだ時の記憶。
俺は転生したのだ。
マジ⁇・・・・・・ヤッターーー!
何を隠そう俺は、学校というヒエラルキーの最底辺。通称キモオタと呼ばれる部類の人種だった。そんな俺がネット小説、その中でも同じく最底辺が転生して俺TUEEEEE‼︎する類いの小説に行き着いたのは必然と言える。そして憧れて自分もそうしたいと何度考えた事か。赤ん坊にしては目がよく見えるし、中々眠くならないのかって?これが転生特典というやつだろう。(タブンネ)
目の前にいる助産師の髪の毛が青色だったのも頷ける。
ところで誰か泣き止む方法知ってる人いる?自分の意思ではまだ「泣かない」というのは難しいみたいだな。
すると目の前にガッチリした体格の金髪の男が飛び出してきた。
「おおー♪産まれたのか⁉︎パパでちゅよー。」
うわー、結構ムキムキなのに赤ちゃん言葉とか違和感がすごい。
違和感しかないせいで泣きやめたわ。状況から察するにこの人が父親だろう。
いつのまにか俺を抱き上げているのが綺麗な金髪の女性になっている。かなり疲れた顔をしているから母親かな?
いきなり眠くなってきたぞ、、、、
色々考えているから長く感じるが、まだ生まれてきて数分しか経っていないはずだ。
いや?赤ちゃんだし眠って当然か?、、、だんだん、、、視界が、、、狭、、、く、、、、、、ガクッ
女神のような微笑みを浮かべてその女性は誰ともなく呟く。
「あらあら、もう寝ちゃうのね。」
その返事をするはずの者は、もう眠ってしまった。
泣いていたはずの我が子だが、いつの間にか静かになっている。
「眠れるうちに寝ておかなくちゃ。」
げっそりした顔で、夜泣きのせいで毎晩何度も起こされると零していた友人を思い出す。
「明日は名前も付けないと。」
明日の楽しみを考えていると、いつも次第に眠れるものだ。
「二人とも、おやすみ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます