異世界転生〜危険な世界なので強くなろう〜

春道

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「それ」は気づいた時にはそこにいた。誰も「それ」がいつからそこにあったのか知らない。

皆口を揃えて言う「物心ついた時にはもうあった。でもさっき出てきたばかりの気もする。」と。

「それ」はただ、そこに在るだけのモノだった。「それ」が何なのか、それは誰にもわからない。

だが、「それ」がそこに在り続けることで世界のバランスが崩れていることは、一部の人間には知られていた。

ある人間は「それ」を壊そうとした。しかし、その人はその瞬間に消え去り、忘れられた。誰一人としてその人を覚えていない。どんな顔だったのか?どんな性格だったのか?それどころか男か女かさえ。また別の人間は「それ」の力を利用しようと考えた。そしてその人は力を手に入れる前に消え、忘れられてしまった。

さらに別の人間は「それ」を崇めていた。しかしその人も消え去り忘れられた。

「それ」は何なのか?「それ」は何もしない。ただそこに在るだけなのだ。

これまでも、これからも。

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