第7話炸裂する紅蓮華
俺達は……ミナ・フォン・メイザースを救うために依頼の納品物を投げ捨てた地点を目指し歩いていた。
日本のように山が見えれれば方向感覚が狂うようなことは稀だが、中世ヨーロッパの原生林のようなこの陽光届かぬ平地の森は、目印を覚えておかないと迷ってしまうようのだ。
だから俺は
だから傷が深い方へ向けて歩いていれば、目的地に辿りつくと言う訳だ。
――――とそんな知識を持っているのは俺ぐらいのもので、ミナ・フォン・メイザースが木々に付いた刀傷を見たところで、熊などの爪の傷と剣による傷、あるいは新しいか古いかさえも分からないとの事で、今回は完全な戦力外。
出口までの道を探すのが俺で敵が見えたら、俺に警告から即攻撃と厳命している。まぁそう言うときのために魔杖古剣・
「この剣、軽いし振りやすくて良いわね!」
ミナは嬉しそうに古剣・
その度に空を斬る風切り音が聞こえるが……俺が
先ほどまで自分の腕力に合っていない
「
別段、彼女の
それに比べれば古剣・
「うっ! 分かってるわよ……今だって素振りぐらいはしてるのよ?」
図星を突かれたのか、ミナは一瞬。口篭もるが言い訳をした。
才能のある奴の素振り一回と、才能の無い奴の素振り一回が、同じ価値な訳ないじゃないか……とは思ったもののそれを素直に口にするほど俺は子供ではなかった。
「だろうね。それぐらいはしてないと、あの鼠の攻撃を視認してから打ち返す。なんて芸当は出来ないよ」
「そうでしょう」
などと偉そうなセリフを吐いているが、魔術を使えなかったので結局意味はない。
「敵が来た時は
「分かってるわよ!」
俺の言葉に彼女は強く反発した。
(まぁ分かってるって言うならいいか……)
………
……
…
俺が
「防御ッ!!」
ミナが叫んだ。
俺は一瞬たりとも迷う事無く
そこに居たのは大型の猪だった。巨大な頭部に反り返った一対の像の様な大牙と、黒茶色の針のようなゴワゴワの毛がビッシリと生えた分厚い毛皮、背中から突き出た瘤は
キチンと言葉の意味を理解できるのは好感が持てる。
「
ミナは、古剣・
速い!
ミナの
ボン! と爆発音を立てるが安心はできない。ホグジラの黒茶色の針のようなゴワゴワの毛によって、火や爆発は対して意味をなさない可能性が高いからだ。
「そのまま畳みかけろ!」
俺は叫び、
「
彼女がそう叫ぶと、常人には知覚できない大気中の魔力の流れ――――
「何て大きさだ!」
俺は思わず感嘆の言葉を口にしていた。
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