2
夫婦にはいろんなカタチがあると思う。
私の夫、
私、
空っぽの身体を満たす依人の優しさは心地好くて、私は依人無しでは生きられないと思った。
結婚しないか、と
彼は優しく
それが返事だった。
依人は強い人でもあった。
結婚してからしばらくの間は、問題なく、仲睦まじい夫婦だったと思う。
このまま私と一緒に運命に流されてくれるんだと思った。でも違った。
彼は自分を騙さなかった。私のようには堕ちてはこなかった。
いつからだろう。
もう二年以上はぎこちない夫婦を続けている。
変わらない一つの事実が私たちの間に深い隔たりを生んだ。
夫、
「急に冷えたね」
依人はそう呟いて、重ねた私の右手ごと、左手を自分のコートのポケットに入れた。
暖かい。
私は依人のポケットの中で、そっと指を絡めて握り直す。
依人を見上げた私の目線と、私を見る依人の目線が絡み合う。
そして、何事もなかったように、絡み合っていた目線は離れる。
彼と私を隔てる風が、冷たく頬を撫でた。
依人と初めて会ったのは、高校三年生の時だった。
卒業前に、と告白されて初めて付き合った彼氏、
明るい太陽みたいな広起と対照的で、でも、だからなのか、十年以上の付き合いで何でも話し合える仲というのが納得できた。
依人は、月みたいな、静かに寄り添ってくれる
彼は広起をとても大切にしていたから、こんなことになるなんて思ってなかっただろう。
元、とはいえ、親友がプロポーズした婚約者と結婚することになるなんて。
きっと、依人は苦しんだ。
悪いのは全部私だ。
依人が私に触れる手は、結婚当初と変わらず優しい。
愛おしそうに、まるで壊れやすい大事なもののように、私に触れる。
気づくと、依人はいつも私を見ている。
慈しむような、切ないような
ニセモノの愛でも、悲劇を忘れるに十分な多幸感に浸れた。
それでいい、それ以上は望まない、そう思って結婚したはずだった。それなのに。
「依人が見ているのが、本当に私なら良いのに」
いつからか、そう思っていた自分に気がついて吐きそうになった。
弱く、狡い自分が、ただただ気持ち悪い。
広起のことをあんなにも愛していたのに、今でもこの胸の中から広起を消せないのに、今の私は依人の愛を欲しがっている。
私の身体を通して、妹
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