転生を拒んだら私が神様に?!
モグー
第1話
いろんなどろどろとしたモノを心に抱え、朝日を浴び、月光を浴び
決められた時間になると決まったことをこなし。
自分自身はニュースにも取り上げられるようなありふれた才能もなければ、湯水のような財産もない。何にもないという札がついたような人生。
日々寝て起きて、変化もなければ些細な楽しみも楽しいと思えなくなった、それが気の遠くなる年月が続くと思いきや……
ふと、目が覚め、顔を上げるいつも寝起きする部屋と、違う風景に私はどこだと思い、あたりを見渡す。
真っ白な空間、見渡す限り白い世界。そして中央にぽつんと1人佇む人がいた。
「君、名前はなんていうんだね?」とその人物から尋ねられる。
私は名乗ったが、その人は「ここはいわゆる転生の場所なんだけど…」と言う
転生……?耳に馴染みがあるような言葉だ。ということは、死ぬようなことが自分の身に起こった…つまり死んでる?!と一瞬のうちに理解もし、自分の死についても思い出した。
私の顔色を気にせず神様は「次はどういうふうに転生したい?おすすめはだね…」と話し始める
適正だのスキルだの、世界がこう言うふうになっていてと、丁寧に説明してくれるが「人間には生まれたくないです」と言う言葉しか出なくて
「…どうしたのかな?」と優しく尋ねる声に「人間にはなりくないです」と拒絶するように声を上げてしまった。
私の目の前にいるのは神様であろう。自分のどこから声が出たのかわからない声。しかし目の前の神様は「では私の代わりに神になってみないかい?」と「なんだって?」と聞き返したくなるようなことを言う。
そんな私に気にする様子もなく
「私、しばらく人間やってないのよね〜。転生した先の世界で寿命やら天命を全うすれば、またここにくるかもしれないけど、連絡手段は一応残っているから大丈夫でしょう、まぁハディーには怒られるかもしれないけれども、私からあなたへは自由に連絡できるし、お互い困ることはないでしょう」と言いながら、身支度をするそぶり。
本当に目の前の人は、自分を置いてどこかへいくつもりなのか?と同時にちょっと待ってください!神ってそんな簡単になれるものなんですか?!と言うありきたりな疑問を神に投げかけるが
「その辺は大丈夫大丈夫〜!そうと決まれば、私自身、行ってみたい世界があったんだよね!権限は全て君に譲るよ!向こうの世界でもサポートとかしっかりするからさ!」
呆気に取られる私をよそに、神様の姿は転生する世界に沿った女性の姿になったのかと思いきや、蛍のような光に包まれ一瞬強い光を放ち、眩しさのあまり目を覆った時にはもう「神」の姿はなかった
私を置き去りにした真っ白な空間は、まるでポッカリと空いた穴を再現するかのように次第に暗くなっていく
それと同時に「権限の譲渡確認、転生者の責任者の変更を緊急受理。神リヴェルー。ハディー神の名の下に任命します」と頭に響く
私がリヴェルー?ハディー?!と頭にはいろんな情報がまるでパソコンやスマートフォンに様々なアプリをインストールするかのような勢いで情報が流れ込み、頭でぐるぐる回って追いつかない、あなたは転生したくないのね?じゃあ神になりましょう。その一言で神になってしまったのか?
「リヴェルー神、あなたの責務は死んだものを世界へ送ること、そして世界崩壊を防ぐため常に監視し…」
私は処理しきれずにそのまま倒れ込んでしまった。
どれくらい経ったのか…周りは真っ暗な状態の中目が覚めた。自分の視界に映るのは自分が最後に見た光景のまま。
「ステータス確認」と急に頭に響く音声。それと同時に空中にさまざまなデータが表示される。
そこに映し出されるのは自分の権限、守らなければならない約定。そして、無意識に手に握っているものはスマホだった。
「こんなもの役に立たないのに」正直な気持ちだった、利用していたアプリやSNSは「ここ」ではやることができないのだ。寂しさと確認する動作は私はまだ「人」だった。圏外であろうここで一体で何ができるのか。
しかし画面には新しい連絡先が追加された表記があり、そこにリヴェルーと表記されていた。リヴェルー誰だろう....と思ったが、どう考えても私にこの仕事押し付けた人だ。それしか心当たりない!
スマホで今現在のリヴェルーのステータス…これは、転生した人がどういうふうに生活してるかもみれるのか...スマートフォンを操作しながら、なるほどと思いながら操作してたら、大音の着信音でその考えは吹き飛んでしまった。
相手はリヴェルーからだ。私は手慣れた操作で「リヴェルーさん?!この状況どういうことですか?」と声を荒げ電話に出た
「あらあら、急なことは私も一緒よ。でも無事に引き継ぎが終わってよかったわ〜!私の代わりに、よろしくね新しいリヴェルーさん♪」
神様の世界には引き継ぎとは、頭にはクエスチョンマークが浮かぶ私とは真逆の明るい声の「リヴェルー」の声がスピーカーから響く
「目覚めたばかりで悪いけど、私は手伝いができると思ってこうして連絡したのよ、そろそろ来ると思うわ」
その時私の目の前に、柔らかい白い光が現れた。私の頭には「新たなる転生者です」と無機質な声が響いたので納得した。これが私の最初の異世界転生をさせる人(仕事)なんだと自覚した。
「あなたの最初の仕事よ。まだ白い光のままかしら?」と確認を促す声に私は「はい」と答える。
「じゃあ、手を伸ばして光の前にかざしてみてちょうだい。そうすると、その人の人生が読み取れるわ。そこからあなたがいいと思うその人の生き方を思い浮かべるのよ。忠告するわ、あまりその人の人生に共感はしないこと。いいわね?」
電話口のリヴェルーさんが手ほどきをしてくれるがままに私は、息を整え光に手をかざす。すると、どういう人生を歩んだのか?家族構成や金銭関連、仕事でのこの「人」から得られる情報が頭になだれ込んできた。
私は頭痛を覚え思わずうめき声を上げてしまったのが、電話口のリヴェルーにも伝わったのか「しっかりなさい!」とハッパをかけられた
そうだ自分は今日から神様なのだ!そう思った途端、無意識にその人に合いそうなスキルのリストアップ。それと同時に消生存率が高そうな世界の情報や自分ができることを確認していく。
「その記憶、引き継いだまま新たな人生を歩みますか?」
目の前の光は何も答えない。だが、私自身いいと思う状態にし、新しい世界へ送り出す。
「…共感したの?」と冷めた声がスピーカーから聞こえる
「すみません」
「あまり共感はしてはダメよ。特にあなたは心が持たなくなるわ。」
冷静で的確なアドバイスだ。白い光として私の前に現れた「人」の生い立ちを手をかざすだけで全て知ってしまうのだ。これから何十…いや何百も見ていく光景もあるのであろう。
「最初から冷静でいたほうが楽よ。私以外、直接話せるのは居ないのだし」
私は黙って何もない虚空を見つめる。その間にスマートフォンには新しく、転生した人の連絡先が追加された
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