第289話 もう少し頑張りましょう
朝投稿したエッセイでも軽く触れたが、社内でトラブルが発生した。教育係と新人がとうとう衝突したのである。教育係も前の新人が辞めて反省したのか、今回の新人に対してはかなり辛抱強く対応していた。しかし最初の頃、教育係が新人の質問をちゃんと聞いてなかったとか言ってしまった事があり、そこから新人の不信感が強くなってしまったようである。
結局、二人の間の溝は埋まらず、このままだと新人はさよならすることになりそうだ。こんな事なら辞めてしまった前の新人さんをもっと優しく指導しておけば良かったのだが、そんな事を今さら言ってもどうしようもない。
昨日は半日で帰ってしまい、今日も出てくるかどうか分からない。最近もメールで一方的に休むと言ってきて連絡が取れなかったと言うから、新人の方にもいろいろ問題がありそうである。
と言う訳で、通勤しながら現在の状況を書いてみた。どういう話になるのか遠くから様子を見ておこうと思う。
朝、問題の新人は普通に出社してきた。リーダーにはなにやらゴチョゴチョと謝罪の言葉を述べていたが、肝心の教育係には何もなかったようである。
こっそり耳をダンボにしていたら、九時のミーティングが終わって私と話し終えた教育係に、
「指示を下さい」
と、ぶっきらぼうに言っていた。やはり溝は埋まってないようだ。それにしても昨日の事を無かった事にしていつも通りに働こうとするとは相当の胆力である。
人事の人が来てロビーで話しているのを通りすがりに聞いたのだが、一方的にメールで休むと言ってきて連絡が取れなかった事を注意されているようだった。そりゃそうだ。その後、どのように話がまとまったのか分からないが、入れ替わりに教育係が人事担当と面談していたようだった。
おそらく、新人の言い分を噛み砕いて教育係に伝えたのだろう。お互いが感情的になるもんだから収拾が付かないんだよな。落ち着いて冷静にやり取りをして貰いたいものである。
今日は残業だったので、定時で新人が帰った後、リーダーにどういう話になったのか聞いてみた。何しろ派遣元の社員まで巻き込んで話し合いをしていたのだ。双方の話を聞いた上で、もう少し頑張ってもらう方向で話はまとまったらしい。
まさか昨日のあの状況から現状復帰してしまうとは……。もともとうちの職場はクセの強い人が多い。人事の人間も面談をして、上手く手綱を引けばちゃんと使えると踏んだのだろう。問題は誰が手綱を引くかなのだが……。
今から新しい人を雇おうと思っても、かなり特殊な仕事なのでなかなか人が来ないし、使えるようになるまで時間も労力もかかる。私は半年程度でようやく戦力として認められるようになりつつあるが、今の新人が半年で戦力になるかどうかは分からないのだ。
逆を言えば半年も経てば私よりも戦力になる可能性もあるが、扱いにくさを考えるとちょっと難しいだろう。私は割と厄介な仕事でも進んでやるし、嫌がらないので重宝されているが、おそらく同じ事を今の新人にやらせると厄介なことばっかり押し付ける、と騒ぎ出す可能性が高い。
何にしても私は少し離れた場所から客観的に彼女らの奮闘ぶりを生暖かく見守っていようと思う。
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