いきなりエッセイ

第80話 三日坊主回避！？

　何とか音を上げず、三日間を乗り越える事ができた。長い間、仕事をしていなかったと言うのに、やると決めたらこんなに割り切って出来るもんなんだな。

　通勤もさほど辛くないし、職場環境も悪くない。これなら長く続けられそうである。給料は全く期待できないが、少なくともコンビニバイトよりはまともな収入になるだろう。それで執筆にも支障がないなら私としては文句はない。

　土日はしっかり休んでまた月曜日から頑張ろう、と思っていたのだが、いつの間にかさっそく土曜日が休日出勤にされてしまった……。

　しかし、まだ本番の仕事をしていないというのに、いきなり休日出勤で何をさせようっていうのだろう？　事務作業とかならお手伝いできるけど、専門知識がいるような内容だったら確実に足手纏（あしでまと）いだぞ？

　以前の職場もそうだったが、今回の職場も女性比率が高い。それでも以前の職場のように八対二なんて事はない。せいぜい七対三くらいじゃないかな？

　私のグループは五人のうち四人が女性だが、まぁフロア全体を見れば結構男性もいるし、特に気にはならない。

　五人のうちの四人が女性、簡単に言えば私以外は女性って事だ。今は教育係として一人がずっと関っているだけなので、まだ誰がどんな人なのか全く分かっていない。まぁそれは向こうも同じ事である。今はお互いが様子を見ている段階だ。

　今回、初めて教育係とは別の人間と作業する事になる。帰りがけに連絡先を聞かれたので携帯番号を伝えた。向こうも番号を言ったので、じゃあ一応発信しておきますねと言ったら、ロッカーまで携帯を取りに行って、

「着信してました。私も発信しますね」

　と、不思議な事を言っていた。

「いや、別にかけなくて良いですよ……」

　私は発信履歴を使って番号登録は出来るからね。この人の思考を論理的に説明できる人がいたらぜひ教えて頂きたい。

　これって私が悪いのだろうか？　発信しておきますねと言うのは、口答で伝えた番号では間違って登録する可能性があるからだ。携帯番号を教えられて、私が相手の目の前でその番号に発信したら、電話に残された着信履歴が私の携帯番号だと確実に紐付けできる。

　おそらく、着信番号をアドレス登録する方が、紙に書いたメモを見ながら携帯番号を打ち込んで登録するより手間は少ないはずだ。

　着信してましたって報告は必要だ。そうでないと実際に私のかけた番号が相手の番号かどうか分からないからだ。でも発信はいらんよね？　ほとんど話もした事無いからどう接して良いのか分からず、緊張して訳分かんない事言っちゃったのかな？　自分の父親くらいのおっちゃんが突然これから後輩になるって言われても困るわな。

　そうだな、まぁそういう事にしておこう。基本的にずっと猫を被り続ける予定だし、慣れたら猫被りが通常モードになるから負担は無くなると思う。

　人間なんて多かれ少なかれ公共の場では猫被ってるもんだ。わざわざ自分の嫌な部分を晒すぐらいならずっと猫被ってる方が良いと思う。

　うーん、そんな事を書きながら、私の脳裏にふと北斗の拳に登場した牙一族の絵が浮かんできた。

　違うぞ！