第42話 こそこそするのは良くないんです

 皆さんこんにちは〜。

今日もご機嫌麗しゅうございますか?

わたくし、ナレーションはバカンスを楽しんでおります。

紅葉を見ながらお寺や神社を巡る、そんな旅がわたくしは実は好きなんです。

神社とかお寺って自然に囲まれた場所が多いので、すごい綺麗なんですよね!

それにしっかりと参拝すればご利益がある。

景色を楽しみながらご利益も得られる、まさに一石二鳥です!

 さて、今回のお話は前回のお話の続きとなります。

帰宅後の4人の様子を2話に分けてお送りしたいと思います!









◇◇◇








 今回は笠間夫婦の夜の過ごし方を見てみましょう。

え、だいぶ前にも夜のシーンあったよね?

ま、まあそうですけど……。

でも何度も見て損はないですよね?

 だってこの作品はラブコメですよ?

男女がイチャイチャしているところを見るのが、ラブコメの醍醐味なんですから!

ね、皆さんもそうでしょ?


「ふぅ、やっぱり家の中は落ち着くね」


「そうだね〜。あ、そうたくん先にお風呂はいるでしょ? 今お風呂洗ってくるから待っててね!」


「あ、いや、僕がやるから良いよ」


「もう、そうたくんは疲れてるんだからゆっくり休んでて!」


「あ、はい分かりました! ゆっくり休んでます!」


 これが可愛く見えてしまう伝説の『ぷんぷんおこり』ってやつですね。

ああ、やっぱり渚が当作品のメインヒロインです!

皆さんもそう思うでしょう?

色んな表情を見せてくれる、これこそメインヒロインの特権です!


「はぁ……今日は本当に疲れた……」


 珍しくソファーに寝そべる颯太。

しかし、部活帰りからまだお風呂にも入っていないのに、ソファーに寝そべるとどうなるか……。

そう、汗くさぁぁい匂いが……。


「はっ! いけない!」


 我に返った颯太はすぐにソファーから勢い良く立ち上がった。

そう、だいたいこういう処理は渚がやるに決まっている。

もちろん、颯太が消臭剤スプレーの場所を知らないからとか、そんな奥さんに怒られるような理由ではない。


(こういうことは僕がやろうとしても、絶対になぎさちゃんは譲らないからね)


 そう、何が何でも渚は颯太に尽くすタイプだ。

だから、颯太が何かをしようとすると、絶対に飛び込んできて『わたしがやるから!』と言うに決まっている。

 そこで颯太は考えた、ものすごく考えた。

結果たどり着いた答えは……。


(今のうちに消臭かけちゃおう!)


 今、渚は浴室の掃除をしている。

なら、今のうちに消臭スプレーをかけておけばバレない!

そんな名案を思いついた颯太は、早速行動に移した。

 玄関に置いてある消臭スプレーをこっそり持ってくると、颯太はスプレーの噴出口のロックを解除する。

 そして、颯太は自分が寝転がった場所に消臭剤を振りかけた。

なるべくシュッという音が立たないように、そっと……。


「――――! よし!」


 作業をしている途中に渚が来たらどうしようとドキドキだったが、何とかかけ終わることができた。

颯太はさっさと消臭スプレーを元の場所にしまい込んだ。

 そして敷物がない床に座り、颯太は何事もなかったかのようにスマホを開いた。

そして、SNSを見て渚にバレないようにした。


「そうたくーん、後はお湯入れるだけだからもうちょっと待っててね!」


「う、うん! ありがとうなぎさちゃん」


「ううん、これもわたしの仕事だから気にしないで!」


 浴室から出てきた渚は、夕ご飯を作る前に颯太パワーを頂こうと、颯太の元へ近づいた。

しかし、渚は鋭い奥さん。

すぐに旦那の違和感に気づく。


「そうたくん……何か隠してる?」


「えっ、なんで?」


「そうたくんって、いつも床に座らないよね?」


「――――!?」


 そう、颯太は気づくのが遅かった。

渚は勘が鋭いということを。


「そ、そうかな? きょ、今日はたまたま床に座りたかっただけで――――」


「本当に?」


「え、えっとぉ……」


 もう隠し切れないところまで来ている。

そして、次の渚の一言で颯太は逃げ場を失った。


「あ、これって……もしかして消臭剤の匂い……」


「――――」


 さあ、颯太の目が泳ぎまくっています!

冷や汗が大量に流れ、今にも背中を伝って行こうとしているくらい焦りを隠せない……。

思い切りバレバレであります!


「そうたくん」


「は、はいぃ……」


「もしかして、ソファーに座ったのは良いけど汗臭いから消臭剤かけたの?」


「うん……」


「わたしに気を遣わせないために黙ってやったの?」


「もちろん……。いつも僕がやろうとすると、なぎさちゃんはわたしがやるって言ってくれるでしょ? それはすごいありがたいけど、いつもだったらなぎさちゃんの負担が多いから……」


 視線を落とす颯太。

すると、渚は颯太の頬を両手でそっと包んだ。


「そうたくん、気を使ってくれるのはすごく嬉しい。けど、これはわたしがやりたいことだからやってるの。前にも言ったでしょ? これはお嫁さんであるわたしの努めなんだって。だから、そうたくんは気にしなくても良いの。でも、わたしが言いたいのは、わたしにやっておいたって伝えないで黙ってることが気に入らないの」


「――――!」 


 そうだ、そうだった。

渚は『嘘』というのが一番嫌いな言葉だった。

颯太はそれをしてしまったことを後悔した。


「ごめんね、なぎさちゃん……。僕が良いと思ってやっていたから……」


「ううん、わたしこそごめんね……。ちょっと強い言葉で言っちゃった……。そうたくんは何も悪くないのに……」


「いやいや、僕が悪いよ! でも……なぎさちゃんが楽に過ごせるように僕ももっと手伝ってあげたいんだ。だから、なぎさちゃんが全部やらなくても大丈夫だよ。僕たちは結婚してるんだから、お互いに支えていくことが大事だよ」


「そうたくん……」


 渚も最近は颯太に気を使わせ過ぎていたと気づいた。

彼が何もしないで疲れを少しでも取れるようにと、誰の手も借りずに家事などをしていた。

しかし、それが逆に颯太を心配させてしまうことになるとは思ってもいなかったのだ。


「だからそうたくんは嘘をついたんだね……。本当にごめんね。まだまだそうたくんの知らないことがたくさんあるね……」


「僕だって、まだまだなぎさちゃんの知らないこといっぱいあるよ。だから僕となぎさちゃん、2人で助け合いながら過ごしていこう? だから、なぎさちゃんももっと僕を頼ってね!」


「そうたくん……。うん、そうする!」


 こうして、ちょっとしたいざこざが解決した笠間夫婦。

2人が仲良く笑い合っていれば良いんです!

それくらい、仲の良い学生夫婦なんですから!

いやー、誠に素晴らしいお2人でございます!

 すると、渚は颯太の制服のワイシャツの袖を掴んだ。

だんだんと渚の顔が赤くなっていった。


「そ、そうたくん?」


「ど、どうしたの?」


「その……今日、良い?」


「――――! うん、良いよ」


「今からでも?」


「えっ、今から!?」


「うん……。だめ……?」


 目を潤ませ、ねだってくるように上目遣いで颯太を見つめてくる渚。

あれ、この展開どこかで見たような気がしますね。

 ああ……まさかこの後の展開を見なきゃ行けないんですか……?

あ、今回は大丈夫?

なら良かったです!

またあの時みたいにNGシーンを実況されるかと思ってビクビクしていました……。

 え、『本当は見たいし実況したいんでしょ?』ですって?

ま、まあわたくしだって見たいものはみたいですよ?

ですが、自分も颯太や渚みたいに理性崩壊はしたくないので極力やりたくないんです!

見たいけど!


「そう、たくん……。ああっ!」


「なぎさ、ちゃん……!」


 ちょっ!

作者さん何してるんですか!?

さらっと一瞬だけいやらしいシーンを流そうとしないでくださいよ!

全くもう……。

 ということで……今回のお話はここで終わりです。

次回は清太とさくらペアの夜の過ごし方を除いてみましょう。

またこういうシーンとかなければ良いんですけど……。

あ、でも2人の場合は一緒に住んでないから――――あ、じゃあ安心ですね!

 では、また次回お会いしましょう!

『ドキドキ!』が流れてきたところで、さようなら!

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