可愛い嫁さんとの結婚生活
うまチャン
本編
第1話 可愛い嫁さん
お嫁さん。
それは思春期の男子にとって、かけがえのない夢である。
最初は全く接点がなかったのに、あることがきっかけで仲良くなり、そのままゴールインした、嫁さんが学校一の美少女で、助けたことがきっかけで懐かれてしまい、仲良くなってそのままゴールインした、幼馴染同士でゴールインしたなど、結婚に至るまでの経路は人それぞれだ。
帰ってくれば可愛い嫁さんが『お帰りなさい!』と笑顔で出迎えてくれる。
家に入って2人きりでイチャコライチャコラし、夜にはキスをして良い雰囲気になって……。お嫁さんをガバァッと襲って、そこから服を……ゲッホゲホゲホ……!オェッ!
――――失礼いたしました、喉が突っかかってむせてしまいました。
ご迷惑と心配をおかけして申し訳ございません。
心からお詫び申し上げます……。
あ……そうこうしている間にシーンがどんどん進んでる!
えっと、えっとぉ……。
「はあ……」
あ、教室のシーンね、おけおけ……。
教室のほぼ中央にある席に座り、ため息をついている1人の陰キャ……1人でいることが好きなイケメン男子がいた。
基本1人でいることが好きな彼の名前は、
見た目は、まあごくごく普通にいる一般高校生。
しかし、実はバスケットボール部に所属していて、かなりの実力の持ち主である。
小学生のミニバスケットボール少年団に所属していた頃は全く目立たなかったが、中学2年生から才能が開花し、いきなり選抜に選ばれた。
そして、高校生になるとチームで一番の選手となり、選抜ではキャプテンを努める程になっていた。
そこまでの実力を持っていれば、普通に考えれば女子に大モテしてもおかしくないはずなのだが……。
学校の中では、バスケ部に入ってる人は気持ちが悪いという訳の分からない噂が絶えない。
その理由は他の部活と雰囲気が違うからである。
他の部活に比べて、圧倒的に体育会系の部のため、周りから変態集団だと思われている。
と言ってもおかしな話ですよ。
みんな声を出して一生懸命頑張ることがスポーツの素晴らしいところなのに……。
バスケットボールに執着しすぎて、今まで恋愛感情を持たなかった颯太。
高校2年生になってから、急にこう思うようになった。
(――――彼女が、欲しい)
彼にやっと来た、遅めの思春期だった。
しかし、周りに良く思われていないバスケ部に所属していて、キャプテンを努めている颯太に女子たちが寄り付いてくることはない。
そのため、心のなかでそう思っても何も変化はない。
ただ一人寂しくなるだけ。
颯太くん、なんて悲しい学校生活を送っているんだ!
彼女が欲しいなと思いながら時は過ぎ、3年生になった現在。
引退間近になった颯太は、今日も練習を終えて帰宅路を歩いた。
引退試合も近いこともあって、練習はいつもより軽めだが、颯太は少し残ってシューティング練習をしていた。
こうした陰の努力が、彼の実力を作り上げているのだ。
「んー……ん! 今日も疲れたな。でも家には……んふふ」
背伸びをしながら、颯太は思わずニヤついた。
気持ち悪い笑い方である。
おえっ……。
「何か悪口が聞こえたような……?」
おっと、思わず口に出してしまったが本人には聞こえなかったようです。
危ない危ない……。
そう、彼にはバスケよりもさらに楽しみな事がある。
気持ち悪い笑いをするほどに。
学校から徒歩10分、交差点の角には小さめのアパートが建っている。
そこが、颯太の自宅である。
彼は実家には住んでおらず、アパートを借りて暮らしている。
それには理由がある。
颯太はエレベーターで3階へ上がった。
『3階でございます』
エレベーターのアナウンスが流れると、エレベーターの出口が開く。
エレベータの出口を出て右側、一番奥が颯太の自宅である。
その場所に着くと、颯太はインターホンを鳴らした。
『ピンポーン』
すると、自宅の中からトコトコ走ってドアに向かってくる足音が。
実は颯太の部屋の中には、もう1人の住民がいるのだ。
ピッという音がインターホンから鳴ると、スピーカーからは可愛らしい女の人の声が発せられた。
『どなたですか?』
「僕だよ」
『――――』
「――――えっと……なぎさちゃん? 僕だよ、颯太だよ!」
『――――部屋間違ってるんじゃないですか?』
「え、え!? はっ!?」
女の人はそう言うと、颯太はまたたく間に汗が滲み出る。
完全にパニック状態になってしまい、えっ!?と、はっ!? しか言えなくなってしまった。
それを聞いた女の人は、
『ふふふ……! 冗談! 今開けるから待っててね!』
(ま、またからかわれたぁ!)
女の人は颯太の反応が面白く、吹き出して笑った。
インターホンでからかわれるのは颯太にとって日常なのだが、どうしても真にそれを受け止めてしまう。
そわそわしながら少し待つと、ガチャッと鍵が開く音が鳴った。
そしてドアが開かれると……そこには超絶美少女が立っていた。
「おかえりー! そうたくん!」
「なぎさちゃんただいま!」
身長168センチの颯太より10センチくらい低く、セミロング、大きな目、小さい顔、細くて長い脚を兼ね備えた美少女が颯太を出迎える。
彼女はエプロンを身に着けていて、まるでお嫁さんのようだが、どう見ても高校生、いや中学生入りたてくらいの少女だ。
まさか……颯太はそんな癖があるのか!? 犯罪者か!?
そう思われた方は、どうぞご安心下さい。
見た目は本当に幼く見るが、ちゃんとした高校生だ。
颯太は玄関に入ると、少女は突然両手を広げた。
「――――おかえりのギュー欲しい」
「分かった。ほら……」
颯太は両手を広げる少女を抱きしめた。
少女も颯太を抱きしめ、ほんのりと頬を赤く染めながら幸せそうな顔をする。
「――――はい! そうたくんエネルギー頂きました!」
「僕も十分なぎさちゃんの温もり頂きました!」
「も、もう……。ご飯出来てるから一緒に食べよう?」
「そうやって、ごまかしてるなぎさちゃん可愛い……」
「――――っ!?」
こんな感じで、ただイチャつきまくっている2人。
顔を赤くしている美少女は、実は颯太のお嫁さんなのであーる!
颯太と同じ高校3年生で、名前は
颯太のお嫁さんで、同じ学校、そして彼と同居している。
学校では、学校一の美少女と称されるくらいの容姿を持つ美少女だ。
「座って待っててね。今ご飯持ってくるから」
「あ、じゃあ僕もお皿に装うの手伝うよ」
「ほんと? ありがとー!」
とにかく、2人の仲が非常に良いことはお分かりしただろう。
この2人は正式に結婚していて、婚姻届はすでに出し、結婚指輪もはめている。
何故、この2人が結婚するに至ったのか。
それは今から2年前、つまり2人が高校1年生の頃まで遡るところから始まる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます