第9話【視点】聖女としての誇り(後)
ドアをノックしたのはゴルギーネ様だった。
「突然の押しかけ申し訳ありません。ただ、確認したいことがありましたので」
「ふむ。とにかく入りたまえ」
「では失礼します」
ゴルギーネ様ったら、また私とイチャつきにきたのかな。
普段は裏庭からバレないように私の部屋に直接来ているんだけれど、今日は表から……。
ってそうか、もう私と婚約したようなもんだから隠れてコソコソすることもないんだった。
「いきなり雨が降ったので。もしかしたらフリンデルの力なのかとワクワクしてしまいましてな」
「さすがゴルギーネ君だな。察しがいい。フリンデルが祈った後、急に雲が出て雨が降り出したのだよ」
「ふっふーーーん! 聖女ですからぁ!!」
私はこれでもかというくらいドヤ顔になった。
この感覚はクセになってしまいそうだ。
でも、外ではこのような態度はとらず、できて当たり前のようにしないとな。
私は人々から神のように崇められたいのだ。
「フリンデルと婚約の件ですが、許可をいただけますか!? 俺はフリンデルの聖女としての力を世に広め、愛する者を幸せにさせたい」
「うむ! 君に娘をたくす!!」
私は嬉しさのあまり顔が真っ赤になり、ゴルギーネ様もまた、嬉しそうな表情をしてくれていた。
「ありがとうございます。ではすぐにでもフリンデルの力で雨を降らせたことを広めましょう!」
「うむ。君の情報拡散を専門にした仕事っぷりならば、フリンデルはあっという間に国の有名人となるだろう。頼りにしている」
凄いことになってきたなぁ。
この調子ならば、私のおかげで気候も変化して国の環境改善にもなるだろう。
もしかしたら、私って国中から感謝される存在になるのではないだろうか!
考えるだけでワクワクしてきた。
「では食事にしよう。今日はゴルギーネ君も食べていきなさい。フリンデルよ、邪魔者が外へ出て行った代わりにご飯の用意を願えるか?」
突然、お父様は私に対して料理するようにと頼んできたが……。
「え……料理などできませんわよ……? アイリス義姉様がいつも作っていましたし」
「む……追い出すのは料理を作った後でもよかったかもしれぬ……」
少しだけ、嫌な予感がしてきた。
まさかお父様ったら、アイリス義姉様の代わりとしての使用人を雇わないつもりじゃないだろうか……。
も、もしそうだとしても、私が聖女として活躍したらお金もガッポガッポ入ってくるだろう。
いずれ使用人なんて沢山雇えるようになるから大丈夫だけれどね!
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