アサガオの懺悔 ～彼女を失ってしまった男の独白～

第1話

　朝奈（あさな）が死んだ。

　俺にとっては初めての彼女だった。

　彼女とは気があった。

　彼女の明るい性格が好きだった。

　彼女といると力が湧いてきて、足が軽くなったような気がして、どこまでも行ける気がした。

　二人で大学に進学して、勉強して、遊んで、笑いあって、色んな事を共有して、行く行くは―─結婚。

　そんなに風に成れば良いなと思っていた。

　しかし、そんな理想は幻で、現実は酷く残酷だった。

　俺はそんな理想を信じていたんだ。

　あの日までは。

　朝奈は遠い所に行ってしまった。

　自転車でも、電車でも、飛行機に乗ったって行けない場所。

　ずっと一緒に居ようと約束したのに、俺は彼女と共には行けなかった。

　彼女との永遠を願っておきながら、一緒に居ることが出来ない。そんな不甲斐ない俺はきっと彼氏失格だ。

　こんな俺の事を彼女は許してくれるだろうか。

　これは懺悔だ。

　心に大きな穴が空いてしまった伽藍堂（がらんどう）の様な男の告白（ひとりごと）。

　その隙間を埋めたくて、出来るなら彼女でいっぱいにしたくて、彼女が生きていた事を世界に証明したくて―─

　そんな俺の懺悔を聞いてはくれないだろうか？