ゴン！ガン！ボコン！

殴り続けられているような激しい痛みを感じる。

あれ？俺、仕事帰りなはずなんだけど、なんで寝転がってるんだ？

何故こんなにも顔が痛いんだ？と少し考えて思い出す。

そうか、俺、信号無視して横断歩道を渡り、トラックにはねられたんだ、と。

「よくもサマンサにひどいことしたな！領主の息子だからってもう許さない！」

ゴン！バキッ！バチン！

何かがお腹の上に乗っているように感じる重さに、殴られ続けているような痛み。

そりゃトラックにはねられたんだから体も重く感じるし、痛くも感じるよな。

……？え？いた！痛い痛い！これ、ダメやつ！

これ、マジで殴られてるやつじゃん！暴行されてるやつじゃん！

トラックにひかれた挙句殴られるって、俺、前世でどんだけ悪いことしたんだよ！

『特に悪いことはしていませんねぇ。あえていうなら……女性の胸を見過ぎたことくらいかしら？相手には胸を見てると気づかれていましたよ？』

頭の中に響く優しい声。……言ってる内容、全然優しくない！！

俺のチラ見テクニックが気付かれるわけない！幻聴か？きっと幻聴に決まってる！

『チラ見というか……ガン見でしたね、あれは。胸フェチも程々にした方がいいですよ？ちなみに女性陣からの貴方のあだ名は〈ガン見〉ですよ』

そのままじゃん！もっと面白くひねってよ！

冗談っぽいあだ名だったらまだマシだけど、ガチな奴だから精神ダメージデカいよ！

ただでさえ馬乗りされて殴られているんだから……って、これ、どういう状況だ？

てか、お前誰だ！なんでこんな目に合わなきゃいけないんだ！

俺に馬乗りになり鬼気迫る表情でボコボコと拳を振るう金髪青目の可愛らしい少年。

性転換して10年後だったらいくらでも馬乗りしてきていいけど、もうやめてくれぇ！

「止めだ！えいや！」

頭を振りかぶり勢いをつけ、ぐちゃりと顔面に落とされた少年の頭突き。

あ、ダメだって、いくら子供同士の喧嘩だからって、顔面に頭突きはダメな奴……

……え？子供同士？どういう事？

薄れゆく意識の中、何故か自分が子供だと認識し、受け入れている事に驚く。

というか、意識を失って……ばかりだな……

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい